判旨
本件犯行後に別罪について確定判決を受けた場合であっても、当該確定判決が本件の判決(宣告)前に確定し、かつその刑の執行が終了しているときは、併合罪(刑法45条後段)の適用はなく、別罪として処理される。
問題の所在(論点)
本件犯行の後に別件の確定判決が存在する場合、刑法45条後段の併合罪(いわゆる「事後的な併合罪」)として処理すべきか、それとも別罪として独立して処断すべきかが問題となる。
規範
刑法45条後段の併合罪は、「確定判決前」に犯した罪との関係で成立する。すなわち、ある罪について確定判決があるときは、その罪と判決確定前に犯した他の罪とを併合罪とし、一方、判決確定後に犯した罪や、確定判決の対象となった罪の刑の執行が終了した後の関係については、別個の刑を科すべきものとする(刑法45条、47条等参照)。
重要事実
被告人は、本件犯行(贓物故買)を行った。その後、本件の判決が出る前に、別件の贓物故買罪について昭和27年2月19日に広島高等裁判所岡山支部で懲役6月及び罰金1万円の判決の言渡しを受けた。当該別件の判決は上告棄却の決定により確定し、既にその刑の執行も終了していた。
あてはめ
本件において、被告人が犯した贓物故買の事実は第一審判決の挙示する証拠により十分に認められる。また、前科調書等によれば、被告人は本件犯行「後」に別件の確定判決を受けており、かつその刑の執行も終了している。刑法45条後段が予定するのは、確定判決前に犯した罪と当該確定判決に係る罪との併合であるが、本件のように既に執行を終了した別罪の確定判決が存在するからといって、本件の処断を妨げるものではない。
結論
本件犯行について独立して刑を科した原判決に誤りはなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
併合罪の成否を判断する際の基準時(確定判決時)を確認する趣旨で用いられる。実務上は、余罪が発覚した際に、既に確定した前科との間で45条後段の適用があるか(1個の刑の範囲に収めるべきか)を検討する際の基礎的な判断枠組みとなる。
事件番号: 昭和29(あ)3254 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確定判決のある罪と、その判決の確定前に犯された他の罪とは、刑法45条後段により併合罪となる。そのため、確定判決前の複数の罪に対し、個別に刑を言い渡すことは適法である。 第1 事案の概要:被告人は昭和28年6月24日に窃盗罪により有罪判決を受け、その判決は確定した。一方で、被告人はこれとは別に、昭和…
事件番号: 昭和44(あ)1853 / 裁判年月日: 昭和45年9月29日 / 結論: 棄却
刑法二七条によつて、執行猶予を言い渡した確定裁判による刑の言渡がその効力を失つても、そのことは同法四五条後段の併合罪関係の成否とは相関しない。