判旨
約80日の間に15回行われた贓物故買行為は、時間的間隔や回数に鑑み、包括一罪ではなく併合罪(刑法45条前段)として扱うのが相当である。
問題の所在(論点)
一定期間内に反復して行われた同種の贓物故買行為について、刑法45条前段の併合罪となるか、あるいは包括して一罪と解すべきか。
規範
数個の同種行為が包括して一罪となるか、あるいは併合罪となるかは、犯行の回数、各犯行間の時間的間隔、および犯行の態様等の諸事情を総合して判断すべきである。
重要事実
被告人は、約80日余という期間内に、合計15回にわたって贓物故買(盗品の買い受け)を行った。弁護人は、短時間の連続窃盗を包括一罪とした判例を引用し、本件も単一の罪であると主張して上告した。
あてはめ
本件では、犯行が15回という多数回に及んでおり、かつその期間も80日余という長期間にわたっている。数時間という極めて短時間に行われた犯行を包括一罪とした先例と比較すると、本件は各行為の独立性が高く、時間的・回数的な観点から著しく異なる状況にあるといえる。したがって、各行為を個別の犯罪として併合罪と解するのが妥当である。
結論
本件の贓物故買行為は併合罪を構成し、包括一罪とは認められない。
実務上の射程
罪数論において、包括一罪と併合罪の境界を示す事例判断として活用できる。特に贓物罪のように反復されやすい犯罪において、期間(80日)や回数(15回)が併合罪認定の重要な指標となることを示唆している。
事件番号: 昭和30(あ)1183 / 裁判年月日: 昭和30年9月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件犯行後に別罪について確定判決を受けた場合であっても、当該確定判決が本件の判決(宣告)前に確定し、かつその刑の執行が終了しているときは、併合罪(刑法45条後段)の適用はなく、別罪として処理される。 第1 事案の概要:被告人は、本件犯行(贓物故買)を行った。その後、本件の判決が出る前に、別件の贓物…
事件番号: 昭和23(れ)1599 / 裁判年月日: 昭和27年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数種の罪が包括一罪となるためには、各行為が同種の行為であり、かつ単一の犯意が継続していることが必要である。窃盗、臓物運搬、収受、故買および物価統制令違反といった異種の犯罪行為を、一つの継続した犯意に基づくものとして一罪にまとめることはできない。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗、賍物(盗品)の運搬…
事件番号: 昭和29(あ)12 / 裁判年月日: 昭和30年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数個の犯罪行為が刑法上の包括一罪と認められるためには、犯行の日時・場所の近接性のみならず、それらが単一の意思の発動により行われたものであることを要する。 第1 事案の概要:被告人は、第一審判決判示第四及び第五の各事実(具体的な罪名は判決文からは不明)に示された複数の犯行に及んだ。これらの犯行は、日…