判旨
複数の贓物罪に当たる行為であっても、各行為の間に犯意の継続が認められない場合には、刑法45条前段の併合罪として処断される。
問題の所在(論点)
数個の贓物罪にあたる行為がなされた場合において、それらが一罪として扱われるか、あるいは刑法45条前段の併合罪となるかの区別(罪数論)。
規範
贓物罪(現在の盗品等関与罪)に該当する複数の事実について、それらが一個の意思活動に基因するもの(犯意の継続)と認められない限り、それらの罪は包括一罪等にはならず、併合罪として扱うべきである。
重要事実
被告人は、昭和23年8月3日頃に毛布50余枚外80余点を寄蔵し(事実1)、その後、同年10月12日頃に自転車1台を故買した(事実2)。原審は、これら二つの事実の間に犯意の継続を認めず、併合罪として処断した。
あてはめ
被告人が行った8月の毛布等の寄蔵と、約2ヶ月後の10月に行われた自転車の故買という二つの行為について、判決文によれば原審はそれらの間に「犯意の継続」を認定していない。このように、時間的・場所的に近接しているといった事情や一個の包括的な意思に基づく実行行為の継続が認められない以上、各行為は独立した犯罪事実として評価されるべきである。したがって、両事実を別罪として併合罪により処断した原判決の判断は正当といえる。
結論
本件の両事実は併合罪として処断される。被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
数個の同種行為について包括一罪か併合罪かを分ける基準として「犯意の継続」の有無を重視する。実務上、窃盗や盗品等関与罪が繰り返される場合に、各行為の独立性を判断する際の基礎的な考慮要素として用いられる。答案上では、行為の態様や時間的間隔から犯意の継続を検討する際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)98 / 裁判年月日: 昭和27年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等寄蔵罪と盗品等運搬罪の関係につき、各行為が全然別個独立の犯意の発現に基づくものである場合には、併合罪(刑法45条前段)が成立する。 第1 事案の概要:被告人が盗品等の寄蔵および運搬を行った事案において、原判決は、寄蔵行為と運搬行為が全然別個独立の犯意の発現に基づくものであると認定した。これに…
事件番号: 昭和23(れ)1599 / 裁判年月日: 昭和27年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数種の罪が包括一罪となるためには、各行為が同種の行為であり、かつ単一の犯意が継続していることが必要である。窃盗、臓物運搬、収受、故買および物価統制令違反といった異種の犯罪行為を、一つの継続した犯意に基づくものとして一罪にまとめることはできない。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗、賍物(盗品)の運搬…