判旨
賍物罪の成立において、被告人が当該物件が盗品等であること(賍物たるの情)を認識していたか否かは、原判決が挙げた諸証拠を総合して肯認できる場合、事実誤認の主張は上告理由にならない。
問題の所在(論点)
旧刑法下の賍物罪(現行法の盗品等関与罪)の成立要件である「賍物たるの情」の認識について、原審の事実認定に誤りがあるか、また警察での取調べの態様が認定に影響を及ぼすか。
規範
賍物罪における「賍物たるの情」の認識(故意)の有無は、直接的な自白がなくとも、周囲の客観的事情や供述の合理性を総合的に考慮して判断されるべき事実認定の問題である。
重要事実
被告人が賍物(盗品等)を譲り受けた等として起訴された事案において、被告人は、当該物件が賍物であるとの認識(賍物たるの情)がなかったと主張。また、警察での取り調べにおいて人権蹂躙があったことや、供述調書の記載内容が実際の供述と異なると主張して、原審の事実認定を争った。
あてはめ
原判決が掲示した証拠を総合すれば、被告人が賍物であることを知っていたとする認定は肯認できる。被告人が主張する人権蹂躙や調書の相違については、これを裏付ける証拠が一切存在しない。したがって、原審の判断に不合理な点は認められない。
結論
被告人が賍物たるの情を知っていたとする原判決の事実認定は正当であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
故意(賍物の認識)の認定は事実認定の問題であり、証拠を総合して認定が可能である限り、上告審での事実誤認の主張は認められないことを示す。取調べの任意性や特信性を争う場合は、具体的な証跡が必要となる。
事件番号: 昭和26(あ)924 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賍物罪の成立に必要な故意として、行為者が目的物を買い入れる際、それが賍物(盗品等)であることの認識を有していれば足りる。 第1 事案の概要:被告人は、本件物件を買い入れた。第一審判決は、証拠に基づき、被告人が当該物件の買入当時、それが賍物であるとの認識があったと認定した。これに対し、被告人側は採証…