判旨
賍物罪の成立に必要な故意として、行為者が目的物を買い入れる際、それが賍物(盗品等)であることの認識を有していれば足りる。
問題の所在(論点)
賍物罪(盗品等関与罪)の成立において、物件の買入時にそれが賍物であるとの認識が必要か。また、その認定において証拠法則上の不備があるか。
規範
刑法上の故意(38条1項)が認められるためには、客観的構成要件に該当する事実の認識が必要である。賍物罪(現行法の盗品等関与罪、256条)においては、行為時に当該物件が賍物であることの認識(未必的な認識を含む)を有していることを要する。
重要事実
被告人は、本件物件を買い入れた。第一審判決は、証拠に基づき、被告人が当該物件の買入当時、それが賍物であるとの認識があったと認定した。これに対し、被告人側は採証法則違反や事実誤認を理由に上告した。
あてはめ
第一審判決が挙げた諸証拠によれば、被告人が本件物件の買入という行為に及ぶ際、その物件が賍物であるとの認識を有していたことが肯認される。この事実認定の過程において、採証法則に違反するような不合理な点は認められない。したがって、故意を認めた原判断は正当である。
結論
被告人に本件物件買入当時の賍物性の認識が認められる以上、故意に欠けるところはなく、賍物罪が成立する。
実務上の射程
盗品等関与罪の主観的要件(故意)を論じる際の基礎となる。あてはめにおいては、物件の出所や取引価格、取引場所などの客観的事実から「賍物性の認識」を推認する論法をとることになる。
事件番号: 昭和28(あ)5280 / 裁判年月日: 昭和29年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品関与罪(旧賍物罪)における故意は、対象物が盗品等であることの確実な認識は不要であり、盗品等であるかもしれないという未必の認識があれば足りる。 第1 事案の概要:被告人は、買受けの対象となっている物が「賍物(盗品等)」である可能性を認識しながら、あえてこれを買い受けたとして、賍物故買罪に問われた…