判旨
盗品関与罪(旧賍物罪)における故意は、対象物が盗品等であることの確実な認識は不要であり、盗品等であるかもしれないという未必の認識があれば足りる。
問題の所在(論点)
盗品関与罪(賍物故買罪)の主観的要件として、対象物が盗品等であることの確実な認識が必要か、あるいは「盗品等であるかもしれない」という未必の認識で足りるか。
規範
刑法256条2項(旧刑法における賍物故買罪)の成立には、買受けの際、対象物が盗品等であることの確実な認識は不要であり、盗品等であるかもしれないという認識(いわゆる未必の故意)があれば足りる。
重要事実
被告人は、買受けの対象となっている物が「賍物(盗品等)」である可能性を認識しながら、あえてこれを買い受けたとして、賍物故買罪に問われた。弁護人は、証拠に基づかない事実認定および憲法違反等を理由に上告を申し立てた。
あてはめ
判決文によれば、賍物故買罪は「犯人が賍物であるかも知れないと思いながら買受ける場合」にも成立する。本件において原判決が、被告人が盗品等の可能性を認識しつつ買い受けた事実に照らして有罪とした判断は、従来の判例(昭和23年3月16日最高裁大判等)に合致し、正当である。したがって、確実な認識がないことを理由に故意を否定する主張は採用できない。
結論
被告人が盗品等である可能性を認識しつつ買い受けた以上、未必の故意が認められ、賍物故買罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、盗品等関与罪全般(刑法256条)における「故意」の程度について、未必の故意で足りることを簡潔に示したものである。答案上では、対象物の出所が疑わしい事情(不自然に安価、夜間の取引等)から未必の故意を導き出す際の法的根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4232 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等関与罪における故意(知情)の有無は、買受物品の性質、数量、売渡人の属性、態度など、取引を巡る諸般の客観的事情を総合して判断されるべきである。 第1 事案の概要:被告人が物品を買い受けた際、当該物品が盗品等であることについて知情(故意)があったかどうかが争われた事案である。第一審および第二審に…