判旨
確定判決のある罪と、その判決の確定前に犯された他の罪とは、刑法45条後段により併合罪となる。そのため、確定判決前の複数の罪に対し、個別に刑を言い渡すことは適法である。
問題の所在(論点)
確定判決がある場合、その確定前に犯された他の罪との罪数関係をいかに解すべきか。具体的には、確定判決を経た罪と確定前の罪が刑法45条後段の併合罪となり、それぞれ独立して刑を言い渡すことができるかが問題となった。
規範
刑法45条後段は、確定判決以前に犯された罪が併合罪となることを定めている。この規定により、ある罪について有罪判決が確定した場合、その確定前に犯された他の罪は当該既決の罪と併合罪の関係に立ち、別途刑を言い渡すべき対象となる。
重要事実
被告人は昭和28年6月24日に窃盗罪により有罪判決を受け、その判決は確定した。一方で、被告人はこれとは別に、昭和26年8月21日から昭和27年2月上旬にかけて詐欺罪(第一審判示第一)を犯しており、さらに別の窃盗罪(第一審判示第二)も犯していた。第一審判決は、これらの罪に対しそれぞれ刑を言い渡したため、被告人側が法令違反を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人は昭和28年に窃盗罪の確定判決を受けている。これに対し、本件の対象となっている詐欺罪は、右判決の確定前である昭和26年から27年にかけて行われたものである。したがって、当該詐欺罪は確定判決のあった窃盗罪と刑法45条後段により併合罪の関係に立つといえる。同様に、判示第二の窃盗罪についても独立した罪として扱われる。このように、確定判決を挟んで前後に犯された罪や、確定前の余罪については、併合罪として個別に刑を言い渡すことが法的に要請される。
結論
確定判決前の罪と確定判決のあった罪は併合罪となるため、第一審が詐欺罪と窃盗罪につきそれぞれ刑を言い渡した判断は正当であり、違法はない。
実務上の射程
刑法45条後段の「確定判決」の基準時を再確認する趣旨で用いられる。答案上は、追起訴された事件や過去に前科がある事案において、併合罪として処理すべき範囲を特定する際の根拠となる。既判力の範囲(刑訴法337条4号)との限界を画する実務上の基礎知識である。
事件番号: 昭和29(あ)2077 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の罪の間に確定判決が存在する場合、刑法45条後段の規定に従い、それらの罪は併合罪とはならず、刑罰の算定において別個の取扱いを受ける。 第1 事案の概要:被告人が犯した第七の罪と第八の罪について、両罪の間に確定判決が存在していた。弁護人は、これらの罪が併合罪となることを前提に法令違反を主張して上…