判旨
刑法45条後段および50条に基づき、確定裁判を経た罪とその確定前に犯した罪を併合罪として後者を処断することは、二重処罰の禁止を定めた憲法39条に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法45条後段の併合罪について、同法50条に基づき後から発覚した罪を別個に処断することが、憲法39条の二重処罰の禁止に抵触するか。
規範
刑法45条後段によって、確定判決を経た罪とその裁判確定前に犯した罪を併合罪とし、同法50条によって後者につき処断することは、既に確定した前者の罪について再び審理裁判をしたことにはならない。したがって、このような処断手続は憲法39条が禁止する二重処罰には当たらない。
重要事実
被告人両名は、過去に別の罪で確定判決を受けていたが、その裁判が確定する前に犯していた別罪について、改めて起訴された。原審は、刑法45条後段および同50条を適用し、確定判決に係る罪と併合罪の関係にあるものとして、残る罪について処断した。これに対し被告人側は、一度裁判が確定した罪と併合罪の関係にある罪を別個に処断することは、実質的に同一の事件について重ねて刑事上の責任を問うものであり、憲法39条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
憲法39条が禁じているのは、同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うこと(二重処罰・一事不再理)である。本件において刑法45条後段および50条が予定しているのは、まだ審理・判決を受けていない「確定裁判前に犯した罪」に対する処罰である。これは既に裁判が確定した「前者の罪」そのものを再び審理するものではない。したがって、併合罪の処理として後から発覚した罪につき個別に刑を言い渡すことは、処罰の対象が異なる以上、二重処罰の禁止に触れる余地はないといえる。
結論
併合罪のうち一部について確定裁判がある場合に、その確定前に犯した他の罪を処断することは、憲法39条に違反しない。
実務上の射程
憲法39条(二重処罰)と刑法上の併合罪処理の整合性を示す基本判例である。確定判決の既判力の及ぶ範囲を画定する際や、刑法45条後段・50条の合憲性を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)5295 / 裁判年月日: 昭和29年3月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において累犯にかかる前科を考慮することは、憲法39条が禁じる二重の処罰には当たらず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴された際、裁判所が量刑を決定するにあたって被告人の累犯にかかる前科を考慮した。これに対し、弁護人は、一度処罰された前科を後の裁判の量刑で再度考慮すること…