判旨
被告人が犯した複数の罪の間に確定判決が介在する場合、刑法45条後段に基づき、各確定判決によって区切られた罪の群ごとに一連の併合罪として各別の刑を言い渡さなければならない。
問題の所在(論点)
確定判決を間に挟んで犯された複数の罪に対し、それらを全て刑法45条前段の併合罪として一括し、単一の刑を科すことは許されるか。刑法45条後段の解釈と併合罪の処理が問題となる。
規範
刑法45条後段の「確定裁判」が介在する場合、その確定裁判の前後で併合罪の範囲が分断される。したがって、確定裁判を経た罪とそれ以前に犯した罪が併合罪となり、他方、その確定裁判以後に犯した罪は、それより後の確定裁判との関係で別個の併合罪を構成する。裁判所は、これらの各一連の併合罪ごとに夫々各別の刑を言い渡すべきである。
重要事実
被告人は、第1の詐欺罪(昭和25年2月26日頃)、第2の詐欺罪(28年2月21日頃)、第3の各詐欺罪(29年1月)を犯した。その間、被告人には(一)昭和25年6月10日確定の物価統制令違反、(二)昭和28年5月6日確定の道路交通取締法違反の各罰金刑の確定裁判があった。一審判決は、第1から第3の全ての罪を刑法45条前段の併合罪として一括し、一個の刑(懲役1年6月)を言い渡した。
あてはめ
本件では、第1の罪は確定裁判(一)以前の罪であり、第1の罪と(一)の罪が刑法45条後段の一連の併合罪となる。次に、第2の罪は確定裁判(一)の後かつ(二)以前の罪であり、第2の罪と(二)の罪が別の一連の併合罪となる。さらに、第3の各罪は確定裁判(二)の後の罪であり、これらのみが刑法45条前段の併合罪となる。それゆえ、一審判決がこれら全ての事実を一個の刑で処断したことは、刑法45条の適用を誤った違法がある。
結論
第1、第2、第3の罪は各々独立した刑を言い渡すべき併合罪の群に属するため、各別の刑を言い渡す必要がある(第1の罪に懲役10月、第2の罪に懲役4月、第3の各罪に懲役4月)。
実務上の射程
併合罪の処理(刑法45条)に関する基本判例である。答案上は、数罪の間に確定判決がある場合、その「確定判決」により併合罪の範囲が分断され、各群ごとに刑を量定しなければならないことを示す際に用いる。また、分断された結果、未決勾留日数の算入(刑法21条)も各刑ごとに行う必要がある点も実務上重要である。
事件番号: 昭和29(あ)2077 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の罪の間に確定判決が存在する場合、刑法45条後段の規定に従い、それらの罪は併合罪とはならず、刑罰の算定において別個の取扱いを受ける。 第1 事案の概要:被告人が犯した第七の罪と第八の罪について、両罪の間に確定判決が存在していた。弁護人は、これらの罪が併合罪となることを前提に法令違反を主張して上…