法定刑が同一である同一罰条における一項と二項との適用の誤は判決に影響を及ぼさないものである。
法定刑が同一である同一罰条における一項と二項との適用の誤と判決への影響。
刑法246条,刑訴法335条1項
判旨
法定刑が同一である同一罰条における項の適用の誤りは判決に影響を及ぼさず、また数個の罪を併合加重する際に最も重い罪を明示しなくても違法ではない。
問題の所在(論点)
1.法定刑が同一である同一罰条内の項の適用を誤った場合、判決に影響を及ぼすべき法令違反となるか。 2.併合加重において、最も重い罪を明示・説明する必要があるか。
規範
1.法定刑が同一である同一罰条(例えば詐欺罪の1項と2項)において、適用の項を誤ったとしても、刑の量定に実質的な差異が生じない限り、判決に影響を及ぼす法令違反には当たらない。 2.刑法47条に基づき数個の罪を併合加重する場合、判決書において「いずれの罪が最も重いか」を明示的に説明しなくても、適法な処断が可能である。
重要事実
被告人が複数の詐欺罪に問われた事案において、原判決が詐欺罪の1項と2項の適用を誤った可能性、および併合罪の加重(刑法45条前段、47条)に際して最も重い罪を明示しなかったことが、判決に影響を及ぼすべき法令違反に当たるとして上告された。
事件番号: 昭和32(あ)616 / 裁判年月日: 昭和35年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の罪が併合罪の関係にある場合、刑法10条2項に基づき刑の長期が長い方の罪を「最も重い罪」として処断すべきであり、これに反する法令適用は違法である。ただし、被告人の不利益を主張する上告は適法な理由にならず、直ちに判決破棄を要する著しい正義に反する場合(刑訴法411条)にも当たらない。 第1 事案…
あてはめ
1.詐欺罪の1項と2項は法定刑が同一である。したがって、仮に項の選択に誤りがあったとしても、被告人に科される刑の範囲に変動はなく、判決の結果を左右するものではないため、正当な判示として維持される。 2.併合罪の加重手続きにおいて、裁判所がどの罪を最も重いと判断したかを逐一明示することは、刑法上の義務ではない。記録上、適正な範囲内で加重が行われている限り、そのプロセスにおける明示の欠如は違法とはいえない。
結論
本件上告は棄却される。項の適用の誤りや重い罪の明示欠如は、いずれも上告理由(刑訴法405条)や職権破棄事由(同411条)には該当しない。
実務上の射程
罪数論や刑の算定に関する実務上の手続的要件を緩和する射程を持つ。答案上は、罪名や適用条文の細部(項レベル)の誤記が判決の妥当性に直ちに影響しないことの根拠として利用できるが、主文に影響しない軽微な誤りに関する法理である点に留意が必要である。
事件番号: 昭和31(あ)1259 / 裁判年月日: 昭和31年12月20日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】被告人が犯した複数の罪の間に確定判決が介在する場合、刑法45条後段に基づき、各確定判決によって区切られた罪の群ごとに一連の併合罪として各別の刑を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、第1の詐欺罪(昭和25年2月26日頃)、第2の詐欺罪(28年2月21日頃)、第3の各詐欺罪(29年…