判旨
判決に明らかな誤記がある場合であっても、それが判決の結論に影響を及ぼさない軽微な事項であれば、判決訂正の申立は理由がないものとして棄却される。
問題の所在(論点)
判決文中に日付や年齢の単純な記載ミス(誤記)がある場合に、刑事訴訟法417条1項に基づく判決訂正の申立が認められるか。
規範
刑訴法415条に基づく判決訂正の申立は、判決の内容に誤りがあることを理由とするものであるが、誤記が明白であり、かつ判決の基礎となる事実に実質的な影響を与えない場合は、訂正の必要性を欠くものと解される。
重要事実
恐喝被告事件の上告棄却決定に対し、被告人から判決訂正の申立がなされた。訂正を求められた事項は、①原審の判決宣告年月日(昭和28年12月19日とすべきを「12年19日」と記載)および、②被告人の生年月日(明治39年6月8日とすべきを「6月1日」と記載)の2点であった。
あてはめ
最高裁判所は、指摘された日付および年齢の記載について「明らかな誤記」であると認定した。しかし、これらの誤りは形式的な記載の不備にとどまり、上告棄却という裁判の結論や判断の根拠を左右するものではない。したがって、実質的に判決を訂正すべき理由(不当性)は存在しないといえる。
結論
本件申立には理由がないため、棄却される。
実務上の射程
判決書における軽微な誤字脱字や明らかな誤記は、判決の効力自体を否定するものではなく、判決訂正の手続によらずとも更正されうる性質のものであることを示唆している。答案上は、手続的瑕疵が判決の結果に影響を及ぼさない場合の処理として参照し得る。
事件番号: 昭和30(す)198 / 裁判年月日: 昭和30年6月27日 / 結論: 棄却
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