判旨
憲法違反を主張していても、その実質が再審請求の理由の有無を争うものである場合は、刑事訴訟法405条所定の適法な上告(特別抗告)理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条(434条・424条準用)に基づく特別抗告において、主張の実質が再審請求の理由の存否に関するものである場合、適法な抗告理由といえるか。
規範
最高裁判所に対する特別抗告(刑事訴訟法433条、405条準用)において、形式的に憲法違反を主張していても、その実質が単なる再審請求の不当をいうものである場合は、同条所定の適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
抗告人は、再審請求を棄却した決定に対して特別抗告を申し立てた。その際、憲法違反を理由として掲げていたが、具体的趣旨の内容は、本件再審請求には正当な理由があることを主張するものであった。
あてはめ
本件において抗告人は憲法違反を主張しているものの、その実質は「再審請求の理由があること」の主張にすぎない。これは刑事訴訟法405条各号に規定された憲法違反や判例相反などの限定的な上告理由に該当せず、単なる事実誤認や法令違反の主張に類するものであると解される。
結論
本件抗告は、刑事訴訟法405条所定の事由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別抗告の門前払いの論理を示す。形式的に憲法違反等の語句を用いていても、実質が事実認定の不服である場合は適法な理由として扱われないことを示した実務上の基本的な判断である。
事件番号: 昭和43(し)34 / 裁判年月日: 昭和43年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、実質的に単なる訴訟法違反を主張するものは、同条所定の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が刑事訴訟法433条に基づき特別抗告を申し立てた事案。抗告人はその理由として憲法違反を主張していたが、その主張の実質は訴訟法違反を指摘するものであった。…
事件番号: 昭和29(し)20 / 裁判年月日: 昭和29年6月15日 / 結論: 棄却
有罪を言渡した確定判決に対する再審の請求を棄却した地裁の決定に対する即時抗告について、高裁が右再審請求の事由とするところは不適法であるとして、右即時抗告を棄却した決定に対しては、右確定判決に憲法違反があることを理由として最高裁判所に特別抗告を申し立てることはできない。
事件番号: 昭和43(し)25 / 裁判年月日: 昭和43年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不…
事件番号: 昭和33(し)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月27日 / 結論: 棄却
一 確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、憲法にいう「裁判の対審」に当たらない 二 刑訴法第四三五条第六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり証明力も高度のものをいい、被告人が弁護人に宛てた書信の如きを含まない 三 同条同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは法定刑の軽い罪をいい、心神耗弱…
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…