有罪を言渡した確定判決に対する再審の請求を棄却した地裁の決定に対する即時抗告について、高裁が右再審請求の事由とするところは不適法であるとして、右即時抗告を棄却した決定に対しては、右確定判決に憲法違反があることを理由として最高裁判所に特別抗告を申し立てることはできない。
再審請求棄却決定に対する即時抗告を棄却した抗告裁判所の決定に対する特別抗告
刑訴法435条,刑訴法446条,刑訴法447条,刑訴法450条,刑訴法433条
判旨
最高裁判所への特別抗告は、刑訴法405条所定の事由(憲法違反または判例相反)があることを理由とする場合に限られ、原決定が憲法問題について判断していない場合や、抗告理由が原決定に向けられたものでない場合は不適法となる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の特別抗告において、原決定が憲法問題について判断を示していない場合や、主張される違憲の理由が原決定に対するものでない場合に、当該抗告は適法といえるか(刑訴法405条の準用、刑訴法433条1項)。
規範
最高裁判所に対する特別抗告(刑事訴訟法433条1項)が適法となるためには、原決定自体に憲法違反または判例相反という刑事訴訟法405条所定の事由が含まれていることを要する。原決定が憲法問題について判断を下していない場合、あるいは抗告理由が原決定そのものに対する憲法違反の主張でない場合には、特別抗告の要件を欠き不適法となる。
重要事実
申立人は、再審請求を不適法として即時抗告を棄却した東京高等裁判所の決定(原決定)に対し、最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。申立人は抗告理由において違憲を主張したが、原決定自体は再審請求の適否を判断したにとどまり、憲法問題についての判断は含まれていなかった。また、申立人が主張する違憲の内容も、原決定に対する具体的な憲法違反を指摘するものではなかった。
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…
あてはめ
本件において、原決定である東京高裁の決定は、申立人の再審請求事由が不適法であるとして即時抗告を棄却したにすぎず、憲法判断を行っていない。また、申立人が特別抗告の理由として展開する違憲の主張は、原決定の判断プロセスや内容を対象とするものではない。したがって、特別抗告の限定的な許容事由を定めた刑訴法405条の趣旨に照らし、本件申立てには適法な抗告理由が存在しないと評価される。
結論
本件特別抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告の不服申立事由を厳格に限定する実務運用を確認するものである。答案上は、下級審の決定に対して憲法違反を理由に特別抗告を行う際、単に憲法違反を抽象的に主張するのではなく、「原決定そのもの」に憲法違反の瑕疵があることを指摘しなければならないという門前払いの法理として引用し得る。
事件番号: 昭和29(し)23 / 裁判年月日: 昭和29年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張していても、その実質が再審請求の理由の有無を争うものである場合は、刑事訴訟法405条所定の適法な上告(特別抗告)理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、再審請求を棄却した決定に対して特別抗告を申し立てた。その際、憲法違反を理由として掲げていたが、具体的趣旨の内容は、本件再審…
事件番号: 昭和28(し)25 / 裁判年月日: 昭和28年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告が適法とされるためには、原決定において憲法上の判断が示されている必要がある。原決定が単に再審請求理由の存否という法律上の判断にとどまる場合には、特別抗告の要件を満たさない。 第1 事案の概要:抗告人は、旧刑事訴訟法485条各号に規定される再審請求事由があるとして再審を請求した。これに対し原…
事件番号: 昭和28(し)45 / 裁判年月日: 昭和28年7月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求の棄却決定に対する即時抗告において、原決定が単に再審事由の不在を判断したに留まり憲法上の判断を示していない場合、当該抗告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:抗告人は再審請求を行ったが、原裁判所は、主張された請求理由が旧刑訴法485条各号(再審事由)のいずれにも該当しないとしてこれ…
事件番号: 昭和39(し)90 / 裁判年月日: 昭和40年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧法下で終結した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定については、旧刑訴法及び刑訴応急措置法が適用され、最高裁判所への即時抗告は許されず、憲法違反等の事由がある場合の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:本件は、旧旧刑訴法の下で公訴が提起され、かつ終結した強盗殺人事件である。これに対する再…