判旨
未決勾留日数を本刑に算入するか否かを裁判所の裁量に委ねる刑法21条(改正前)の規定、および未決勾留日数を算入しない判断は憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
未決勾留日数の算入を裁判所の裁量とする規定(改正前刑法21条)および算入を認めない運用が、憲法に違反するか。
規範
未決勾留日数の本刑算入に関する判断が裁判所の裁量に委ねられていること、および算入しないこと自体は、憲法の各条項(適正手続や身体の自由等)に抵触するものではない。
重要事実
被告人は有罪判決を受けたが、原判決において未決勾留日数が1日も本刑に算入されなかった。これに対し、弁護人は、刑法21条(本判決当時の任意的算入規定)が算入を裁判所の裁量に委ねていること、および実際に算入しなかったことが憲法に違反するとして上告した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の判例(昭和22年(れ)105号、昭和23年(れ)762号)を引用し、未決勾留日数を本刑に算入しないことが憲法に違反しないことは明らかであると判示した。本件においても、記録上、職権で原判決を破棄すべき(刑訴法411条)事情は認められず、裁量の範囲内として許容される。
結論
未決勾留日数を本刑に算入しないことは合憲であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
現行刑法21条は「算入する」という必要的算入に改正されたため、本判例の憲法判断の結論自体が現在の刑事裁判実務に直接影響を与える場面は限定的である。しかし、裁判所の広範な裁量を認めた初期の憲法判断の例として位置付けられる。
事件番号: 昭和26(あ)1164 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未決勾留日数の本刑算入は裁判所の裁量に属し、その全部又は一部を算入しないことは違法ではなく、憲法14条等の差別待遇にも当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において、原審が未決勾留日数を本刑に算入しなかったことの違法性、および裁判の迅速を欠いたこと(迅速な裁判の保障違反)を理由として原判決…