原審が第一審判決の本刑に算入した原審における未決勾留日数のうち、被告人の控訴申立をした日から仮出獄の取消による残刑の執行開始の前日までの三八日間を超える分は、確定刑の執行と重複することが明らかであり、原判決中原審の未決勾留日数を本刑に算入した部分は、当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第三八九号同三二年一二月二五日大法廷判決、刑集一一巻一四号三三七七頁)に反して刑法二一条を適用した違法がある。
未決勾留日数の算入につき違法があるとされた事例―懲役刑執行と未決勾留との競合―
刑法21条
判旨
別の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間は、当該事件の未決勾留日数として本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
被告人が他の確定事件につき刑の執行を受けている期間中に、当該被告事件についてなされた勾留期間を、刑法21条に基づき本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条の未決勾留日数の本刑算入において、算入対象となる未決勾留日数は、受刑者として確定刑の執行を受けている期間と重複してはならない。確定刑の執行は刑の実現そのものであり、未決勾留の性質と両立し得ないため、重複期間を本刑に算入することは同条の解釈として許されない。
重要事実
被告人は強盗強姦等の罪で懲役12年の判決を受け服役していたが、仮出獄中に本件強盗強姦の事実で勾留された。その後、仮出獄が取り消されたため、本件の未決勾留中に前刑の残刑執行が開始された。原審は、本件の控訴提起後の未決勾留日数50日を本刑に算入したが、その期間中には前刑の残刑執行期間が含まれていたため、検察官が判例違反を理由に上告した。
あてはめ
本件において、被告人が控訴を申し立てた日から残刑執行開始の前日までの期間は38日間である。原審が算入した50日のうち、この38日間を超える部分は、前刑の残刑執行と重複していることが明らかである。刑法21条を適用して未決勾留日数を算入するにあたっては、確定刑の執行と重複する期間を排除しなければならないため、38日間を超える算入は違法であると評価される。
結論
原判決中、未決勾留日数50日を算入した部分は刑法21条の解釈を誤った違法があるため破棄し、確定刑の執行と重複しない38日間のみを本刑に算入する。
実務上の射程
未決勾留日数の算入(刑法21条)の限界を示す。実務上、被告人が別件で受刑中の場合に、当該事件の勾留期間が本刑に算入可能か(二重算入の可否)を検討する際の基準となる。答案では、算入の適法性を問う場面で、刑の執行との重複を否定する論拠として用いる。
事件番号: 昭和45(あ)944 / 裁判年月日: 昭和45年11月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留の全期間が確定判決に基づく刑の執行と重複する場合には、その未決勾留日数を本刑に算入することはできない。刑法21条の適用において、既決刑の執行期間と重なる未決勾留は算入の対象外となる。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪(第一審)で勾留されていたが、これより以前に別の窃盗・傷害罪で懲役2年(執…
事件番号: 昭和62(あ)226 / 裁判年月日: 昭和62年7月16日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別罪の懲役刑等の執行と重複する場合、その期間は刑法21条の未決勾留日数として本刑に算入することはできない。受刑中の身分での勾留は、自由制限の性質が実質的に刑の執行に包含されるため、二重の利益を認めるべきではないからである。 第1 事案の概要:被告人は強盗等の罪で起訴され、第一審・第二…