判旨
未決勾留日数を本刑に算入するか否かは裁判所の裁量に属し、これを算入しないことが直ちに憲法13条等に違反するものではない。
問題の所在(論点)
第一審が未決勾留日数(18日間)を本刑に算入しなかったことが、刑法21条の誤用および憲法13条違反に該当するか。また、控訴審で主張しなかった事項を上告理由とできるか。
規範
刑法21条の規定は、未決勾留日数の本刑算入を裁判所の裁量に委ねる趣旨であり、算入しないことが当然に違憲となるものではない。また、控訴趣意に含まれず、原判決が判断していない事項については、特段の事情がない限り、適法な上告理由とはならない。
重要事実
被告人が昭和24年3月7日から同月25日までの18日間、未決勾留されていたにもかかわらず、第一審判決がこの日数を本刑に算入しなかった。弁護人は、この不通算が刑法21条の解釈を誤り、憲法13条等の趣旨に反する消極的な憲法違反であると主張して上告した。しかし、当該事由は控訴趣意書では主張されておらず、控訴審判決(原判決)も判断を示していなかった。
あてはめ
弁護人が主張する未決勾留不通算の違憲論は、実質的には単なる不通算に対する非難に過ぎず、刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない。さらに、本件は控訴審において主張されず、原判決の判断を経ていない事項であるため、上告審での適法な理由となり得ない。記録を精査しても、刑法21条の裁量権行使に重大な過誤があるなど、刑事訴訟法411条を適用して職権で破棄すべき事由も認められない。
結論
未決勾留日数の不通算は適法な上告理由に当たらず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
未決勾留日数の算入が裁判所の裁量事項であることを確認する趣旨で引用される。答案上は、訴訟手続の不備や量刑不当を争う際の限界を示す論点として、上告理由の制限(刑訴法405条)や職権破棄事由(411条)との関係で言及することが考えられる。
事件番号: 昭和27(あ)4657 / 裁判年月日: 昭和29年3月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未決勾留日数の本刑への算入に関する不服は、実質的に量刑不当の主張にすぎず、刑訴法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決において本刑に通算された未決勾留日数の少なさを不服とし、弁護人が憲法違反を理由に、被告人本人が量刑不当を理由にそれぞれ上告を申し立てた事案である。 第…