判旨
未決勾留日数の本刑算入は裁判所の裁量に属し、その全部又は一部を算入しないことは違法ではなく、憲法14条等の差別待遇にも当たらない。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入の可否は、裁判所の裁量事項であるか。また、算入しないことが法の下の平等に反する差別待遇に当たるか。
規範
刑法21条の規定によれば、未決勾留日数の全部または一部を本刑に算入するか否かは、裁判所の広範な裁量権に属する事項である。したがって、これを算入しない判断をしたとしても、直ちに違法性や憲法違反の差別待遇が生じるものではない。
重要事実
被告人が上告審において、原審が未決勾留日数を本刑に算入しなかったことの違法性、および裁判の迅速を欠いたこと(迅速な裁判の保障違反)を理由として原判決の破棄を求めた事案。
あてはめ
刑法21条はすべての人に等しく適用される規定である。原審において未決勾留日数が算入されなかったとしても、それは法が認めた裁判所の裁量権の行使の結果にすぎない。特定の被告人に対して不当な差別を行ったとは認められず、裁量権の逸脱・濫用があるとはいえない。また、仮に裁判の迅速性が損なわれていたとしても、そのこと自体が直ちに判決に影響を及ぼすものではないため、破棄理由には当たらない。
結論
未決勾留日数の算入は裁判所の裁量に委ねられており、算入しない判断は違法でも差別でもない。上告棄却。
実務上の射程
裁判所の算入裁量を肯定した初期の判例。なお、現行の刑法21条は「算入することができる」から「算入する」に改正(算入の義務化)されている点に留意が必要だが、本判決は算入の有無が差別待遇に当たらないという法の下の平等の観点や、裁判の遅延が判決に及ぼす影響に関する準則として参照されうる。
事件番号: 昭和22(れ)10 / 裁判年月日: 昭和22年11月11日 / 結論: 棄却
未決勾留の日數を本刑に算入するかどうかは原審自由裁量の範圍に屬すること刑法第二一條の字句上疑ない。されば原審がそれを算入しなかつたことが法令違反でないことは勿論で此點を攻撃するのみの論旨は上告の理由がない。
事件番号: 昭和26(あ)660 / 裁判年月日: 昭和28年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未決勾留日数を本刑に算入しないことは、憲法に違反するものではなく、裁判所の広範な裁量に属する事項である。 第1 事案の概要:被告人が未決勾留日数を本刑に算入しなかった原審の判断を不服とし、憲法違反を主張して上告したが、具体的な被告人の罪名や未決勾留期間の詳細は判決文からは不明である。 第2 問題の…
事件番号: 昭和26(れ)713 / 裁判年月日: 昭和26年7月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠の取捨選択や事実認定に関する非難、および量刑不当の主張は、刑事訴訟応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の証拠取捨選択および事実認定を非難し、あわせて量刑が不当であるとして上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):原審の専権事項で…