未決勾留の日數を本刑に算入するかどうかは原審自由裁量の範圍に屬すること刑法第二一條の字句上疑ない。されば原審がそれを算入しなかつたことが法令違反でないことは勿論で此點を攻撃するのみの論旨は上告の理由がない。
未決勾留日數の算入
刑法21條
判旨
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入の可否は、裁判所の自由裁量に属する事項である。したがって、未決勾留日数を本刑に算入しなかったとしても、当然に法令違反とはならない。
問題の所在(論点)
刑法21条(昭和22年当時)に基づき、裁判所が未決勾留日数を本刑に算入しないことは法令違反となるか。また、算入の可否は裁判所の裁量事項か。
規範
未決勾留日数を本刑に算入するか否かは、刑法21条の「算入することを得」という文言上、原審の自由裁量の範囲に属する。
重要事実
被告人は強盗目的で被害者方に押し入ったが、その貧困な実情を知って犯行を中止した。被告人は、未決勾留として10か月の長期間拘束されていたが、その長期化の原因は裁判所の都合によるもので、被告人側に責任はなかった。原審は被告人を懲役2年6月の刑に処したが、未決勾留日数の算入を一切行わなかったため、被告人が法令違反を主張して上告した。
あてはめ
刑法21条の規定によれば、未決勾留日数の算入は「得」(できる)とされており、これは裁判所にその判断を委ねているものと解される。本件において、被告人は10か月という長期間勾留されており、その原因が裁判所側にあったとしても、法文の解釈上、これを本刑に算入するか否かは裁判所の合理的な裁量に委ねられている。したがって、原審がその裁量権を行使して算入を行わなかったとしても、直ちに法令違反があるとはいえない。
結論
未決勾留日数の算入は原審の自由裁量に属するため、算入しなかったことが法令違反であるとの主張は、上告理由にならない。
実務上の射程
本判決は、旧刑法下における未決勾留日数の裁量的算入(任意的算入)に関する判断である。現在の刑法21条は「未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入する」と改正されており、現在は「義務的算入」となっている。そのため、本判決の具体的な結論(算入しないことが自由裁量であるという点)は現在の実務上の射程を有しないが、裁量権の範囲と法文解釈の基本姿勢を示す資料として意義がある。
事件番号: 昭和26(あ)1164 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未決勾留日数の本刑算入は裁判所の裁量に属し、その全部又は一部を算入しないことは違法ではなく、憲法14条等の差別待遇にも当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において、原審が未決勾留日数を本刑に算入しなかったことの違法性、および裁判の迅速を欠いたこと(迅速な裁判の保障違反)を理由として原判決…
事件番号: 昭和62(あ)226 / 裁判年月日: 昭和62年7月16日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別罪の懲役刑等の執行と重複する場合、その期間は刑法21条の未決勾留日数として本刑に算入することはできない。受刑中の身分での勾留は、自由制限の性質が実質的に刑の執行に包含されるため、二重の利益を認めるべきではないからである。 第1 事案の概要:被告人は強盗等の罪で起訴され、第一審・第二…