判旨
衆議院の解散が無効であり、その後に施行された選挙が法律上の効力を有しない場合であっても、当該選挙において行われた選挙法違反行為の刑事責任は免れない。
問題の所在(論点)
衆議院の解散が無効であり、その後の選挙も法律上効力がないとされる場合に、当該選挙において行われた選挙法違反罪の刑事責任が否定されるか。
規範
衆議院の解散の有効性や、それに伴う選挙の法律上の効力の有無は、当該選挙に関連して行われた公職選挙法違反罪の成否に影響を及ぼさない。仮に前提となる解散や選挙が法律上無効であったとしても、現実に行われた選挙の公正を害する行為については刑事責任が認められる。
重要事実
被告人は、衆議院の解散後に施行された総選挙において、公職選挙法違反に問われた。被告人側は、前提となる衆議院の解散が憲法7条に違反し無効であるから、その解散に基づいて行われた選挙も無効であり、したがって当該選挙における行為について刑事責任を追及することは憲法31条等に反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、仮に弁護人が主張するように衆議院の解散が無効であり、その後に施行された選挙が法律上効力を持たないと仮定したとしても、その選挙の過程で行われた選挙法違反行為について刑事責任がなくなるわけではないと判示した。これは、選挙の形式的な有効性と、その過程における個別の違法行為に対する処罰の必要性は別個の問題であると解したものである。
結論
衆議院の解散や選挙が無効であっても、その選挙において行われた選挙法違反罪の刑事責任は免れず、有罪とする原判決は相当である。
実務上の射程
統治行為論等が問題となる国家統治の基本に関する憲法上の疑義がある場合でも、それとは独立して発生した刑事罰の対象となる事象(選挙違反等)については、司法審査の対象となり、かつ前提となる統治行為の効力の有無にかかわらず処罰が可能であることを示す。答案上は、前提となる行政行為や立法行為の効力が争点となる刑事事件において、手続的瑕疵の連鎖を否定する論理として参照し得る。
事件番号: 昭和29(あ)3636 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院の解散が無効であり、その後に実施された総選挙が法律上効力を有しない場合であっても、当該選挙において行われた公職選挙法違反罪の刑事責任は免れない。 第1 事案の概要:被告人が公職選挙法違反罪に問われた事案において、被告人側は、前提となる衆議院の解散が憲法上無効であり、その解散に基づいて実施され…