判旨
衆議院の解散がかりに無効であるとしても、その後に施行された選挙において犯された選挙違反罪の刑事責任は免れない。
問題の所在(論点)
衆議院の解散が無効である場合、その解散に基づいて実施された選挙における選挙違反行為について、刑事責任を問うことができるか。
規範
衆議院の解散という統治行為の効力に関わらず、その解散に基づいて現実に施行された選挙において公職選挙法等の罰則規定に抵触する行為が行われた場合、当該行為の違法性および刑事責任は、解散自体の有効性によって左右されるものではない。
重要事実
被告人が、衆議院解散後に行われた総選挙において選挙違反罪に問われた事案。弁護人は、当該解散が憲法上無効であるから、無効な解散に基づく選挙における行為について刑事責任を追及することは違憲であると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、先行する判例(昭和29年4月22日判決)を引用し、かりに所論の解散が無効であると仮定しても、その後に施行された選挙において犯された選挙違反罪について刑事責任がないということはできないと判示している。これは、現実に行われた選挙という公法上の事実過程においてなされた法違反行為に対し、選挙の前提となる解散の有効性という統治上の法的瑕疵は影響を及ぼさないことを意味する。
結論
被告人の行為に刑事責任がないとはいえず、上告を棄却する。
実務上の射程
統治行為論が問題となる事案において、国家行為の有効性と、それに関連して発生した個別の刑事事件の帰趨を切り離して考える際の根拠となる。答案上は、行政行為や統治行為の瑕疵が後続の事実行為(選挙等)における法適用の有効性に直ちに波及しないことを示す論理として活用できる。
事件番号: 昭和29(あ)3635 / 裁判年月日: 昭和30年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院の解散が無効であり、その後に施行された選挙が法律上の効力を有しない場合であっても、当該選挙において行われた選挙法違反行為の刑事責任は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、衆議院の解散後に施行された総選挙において、公職選挙法違反に問われた。被告人側は、前提となる衆議院の解散が憲法7条に違反し…