仮に解散が無効でその後に施行された選挙も法律上効力がないとしたところで、その選挙において行われた選挙法違反罪に刑事責任がないとはいえない。
解散の無効と選挙法違反罪の成否
公職選挙法221条,憲法7条
判旨
選挙が無効である場合や解散が違憲無効である場合であっても、公に実施された選挙において行われた選挙法違反罪の刑事責任は否定されない。選挙自体の効力の有無と、その過程でなされた違法行為の刑責の有無とは別個の問題である。
問題の所在(論点)
衆議院の解散または選挙が憲法上・法律上無効である場合、その選挙に関して行われた選挙法違反罪の刑事責任は免除されるか。
規範
公に実施された選挙自体の効力の有無は、その選挙においてなされた選挙法違反罪の刑事責任の成否を左右しない。たとえ選挙が無効であると民事判決により確定された場合であっても、その選挙に関連して犯された罪の刑責は何ら影響を受けない。
重要事実
被告人が選挙法違反罪に問われた事案において、弁護人は、衆議院の解散が違憲無効であり、その解散後に実施された選挙も法律上効力がないため、当該選挙において行われた行為について刑事責任を負わないと主張して上告した。
あてはめ
仮に主張されるように衆議院の解散やその後の選挙が無効であったとしても、それは選挙法違反罪の刑事責任の有無とは関係がない。選挙制度の公正を担保するための罰則は、現実に実施された選挙の平穏と公正を保護するものであり、後日に当該選挙自体の効力が争われる余地があったとしても、その実施過程での違法行為が正当化されるわけではない。
結論
解散や選挙が無効であっても、その選挙において行われた公職選挙法違反罪(旧選挙法)の刑事責任は免れない。
実務上の射程
選挙無効の訴えなどの民事的な効力争いと、刑事罰の適用の切り分けを示す判例である。統治行為論等が絡む憲法上の争点がある場合でも、刑事手続においては選挙という公的実態がある以上、罰則の適用が維持されるという実務上の指針となる。
事件番号: 昭和29(あ)133 / 裁判年月日: 昭和29年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院の解散が無効であり、それに伴い実施された選挙が法律上効力を持たない場合であっても、当該選挙において行われた公職選挙法違反罪の刑事責任は免れない。 第1 事案の概要:被告人は衆議院議員総選挙において、公職選挙法に違反する行為(具体的な行為態様は判決文からは不明)に及んだとして起訴された。これに…