判旨
衆議院の解散が無効であり、その後に実施された総選挙が法律上効力を有しない場合であっても、当該選挙において行われた公職選挙法違反罪の刑事責任は免れない。
問題の所在(論点)
衆議院の解散が無効であり、それに伴う総選挙も無効であるとされる場合に、当該選挙に関し行われた公職選挙法違反行為について刑事責任を問うことができるか。
規範
国会解散の有効性や、それに伴う選挙の効力の有無にかかわらず、現に実施された選挙の手続過程においてなされた公職選挙法違反行為については、当該選挙の効力とは切り離して刑事責任を問うことができる。
重要事実
被告人が公職選挙法違反罪に問われた事案において、被告人側は、前提となる衆議院の解散が憲法上無効であり、その解散に基づいて実施された本件選挙自体も法律上の効力を有しないため、刑事責任も発生しない旨を主張して上告した。
あてはめ
仮に弁護人が主張するように、本件選挙の前提となる解散が無効であり、選挙自体が法律上効力を持たない状態であったとしても、現に行われた選挙の公正を害する行為(公職選挙法違反行為)がなされた以上、その社会的・法的な非難対象としての刑事責任は否定されない。既往の判例(最判昭29.4.15)の趣旨に照らせば、選挙の効力の有無は、その過程で行われた犯罪の成立を左右するものではないと解される。
結論
解散や選挙が法律上無効であるとしても、その選挙における公職選挙法違反罪の刑事責任を免れることはできない。
実務上の射程
統治行為論等が問題となる場面で、国政上の瑕疵が刑事罰の成否に波及するかという文脈で活用される。選挙の有効性という公法上の論点と、処罰の必要性という刑事法の論点を切り離して考える判断枠組みを示すものである。
事件番号: 昭和29(あ)3635 / 裁判年月日: 昭和30年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院の解散が無効であり、その後に施行された選挙が法律上の効力を有しない場合であっても、当該選挙において行われた選挙法違反行為の刑事責任は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、衆議院の解散後に施行された総選挙において、公職選挙法違反に問われた。被告人側は、前提となる衆議院の解散が憲法7条に違反し…