判旨
窃盗罪等の領得罪における「不法領得の意思」とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い利用し、又は処分する意思を指す。
問題の所在(論点)
窃盗罪や強盗罪等の領得罪の成立に必要な「不法領得の意思」の内容が問題となる。
規範
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い利用し、又は処分する意思をいう。
重要事実
被告人らは、被害者から物件(物件の詳細は判決文からは不明)を取り上げた。原審は、被告人らが当該物件を自己の所有物と同様に利用、または処分する意思を持って取り上げた事実を認定し、不法領得の意思が認められると判断した。
あてはめ
被告人らは、物件を単に一時的に占有したのではなく、あたかも「自己の所有物と同様に」利用・処分する意思で被害者から取り上げている。このような態様は、真の権利者の占有を排除する意思(権利者排除意思)と、その物の本来の用途に従って享受・処分しようとする意思(利用処分意思)を充足するものと認められる。
結論
被告人らには不法領得の意思が認められ、領得罪(事案の詳細は判決文からは不明だが、原判決の結論)が成立する。
実務上の射程
不法領得の意思の定義を明確に示したリーディングケースである。答案上では、不可罰な「使用窃盗」や、単なる「毀棄・隠匿の意思」と区別するためのメルクマールとして、権利者排除意思と利用処分意思の二要素を明示する際に引用すべき判例である。
事件番号: 昭和27(あ)5978 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利行使の目的があったとしても、その手段が社会通念上許容される範囲を超え、刑罰法規の構成要件に該当する場合には違法性が阻却されず、犯罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人が何らかの行為(具体的な罪名は判決文からは不明だが、前審の判断を引用する形式)に及び、その正当化事由として権利行使の目的を主張…