判旨
権利行使の目的があったとしても、その手段が社会通念上許容される範囲を超え、刑罰法規の構成要件に該当する場合には違法性が阻却されず、犯罪が成立する。
問題の所在(論点)
権利行使の目的がある場合において、その目的をもって行われた行為が刑罰法規に該当するときに、正当な権利行使として違法性が阻却されるか、あるいは構成要件該当性が否定されるか。
規範
権利の行使を目的とする行為であっても、その目的と手段のバランスが失われ、客観的に見て社会的に相当と認められる範囲を逸脱し、当該行為が特定の刑罰法規の構成要件を充足する場合には、原則として適法とは認められない。
重要事実
被告人が何らかの行為(具体的な罪名は判決文からは不明だが、前審の判断を引用する形式)に及び、その正当化事由として権利行使の目的を主張して上告した事案。原審は、被告人の所為が弁護人の主張するような正当な権利行使の目的に出たものではないと認定していた。
あてはめ
本件において、被告人側は権利行使の目的を主張するが、原審の認定によれば、当該行為は正当な権利行使の目的に基づくものとは認められない。仮に主観的に権利行使の意図があったとしても、その実態が事実誤認を伴う主張であるか、または実質的に事実誤認や量刑不当の域を出ないものである以上、刑法上の正当行為等として違法性を阻却する余地はない。
結論
被告人の行為について権利行使を理由とする正当化は認められず、有罪とした原判決を支持して上告を棄却する。
実務上の射程
自力救済の禁止の原則に基づき、権利行使の目的があれば直ちに不法領得の意思が否定されたり違法性が阻却されたりするわけではないことを示す。答案では、恐喝罪や窃盗罪における「権利行使と不法領得の意思」の論点で、手段の相当性が欠ける場合に犯罪の成立を肯定する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和41(あ)2301 / 裁判年月日: 昭和42年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】正当な権利行使の手段として行われた恐喝行為であっても、その手段方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱する場合には、恐喝罪が成立する。 第1 事案の概要:上告人は正当な権利(債権等)を有していたが、その行使に際して恐喝罪の構成要件に該当する行為を行った。弁護人は権利行使である以上…