判旨
被告人および関係人の供述に任意性を疑わせる証跡が認められない場合、当該供述を事実認定の証拠として採用することは憲法および刑事訴訟法に違反しない。
問題の所在(論点)
事実認定の証拠として採用された被告人等の供述が、強要によるものであり任意性を欠くために違憲・違法となるか(自白の任意性)。
規範
自白の証拠能力について、供述が強要されたものではなく任意の供述であると認められる場合には、これに基づき事実認定を行うことは合憲・適法である。
重要事実
第一審が被告人および関係人の供述を事実認定の証拠として採用したところ、弁護人がこれらは強要による供述であり、憲法に違反する旨を主張して上告した事案である。
あてはめ
本件記録を精査するに、被告人および関係人の供述が強要されたことを裏付けるような、任意の供述であることを疑わせる証跡は一切認められない。したがって、当該供述には任意性が認められる。
結論
本件供述を証拠として採用した判断に憲法違反の前提となる事由は認められず、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
自白の任意性に関する初期の判例であり、記録上「任意の供述であることを疑わしめるような証跡」の有無が判断基準となることを示している。実務上は、供述の自由意志を阻害する不当な圧迫の有無を具体的事実から検討する際の出発点となる。
事件番号: 昭和29(あ)662 / 裁判年月日: 昭和29年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が捜査機関に対して行った自白について、その任意性を否定すべき客観的な資料や事情が認められない場合には、証拠能力を認めることができる。 第1 事案の概要:被告人4名が、司法警察員または検察官に対してそれぞれ自白(各供述)を行った。弁護人は当該自白の有効性や手続の違憲性を主張したが、記録上、これ…