判旨
第一審において複数回の公判期日を重ね、証人尋問や被告人質問等の証拠調べを適法に実施している場合、審理不尽の違法があるとはいえず、略式手続で審判したとの非難は当たらない。
問題の所在(論点)
第一審の審理手続において、証拠調べ等が不十分であり、実質的に略式手続と同視されるような審理不尽の違法(刑事訴訟法405条の上告理由)が存在するか。
規範
第一審の審理において、十分な公判期日が設けられ、証人尋問その他の必要な証拠調べおよび被告人質問が実施されている場合には、適法な公判手続が尽くされたものと判断される。
重要事実
被告人は第一審が審理を尽くさなかったと主張して上告した。記録によれば、第一審は7回にわたって公判を開き、証人2名を尋問したほか、必要な証拠を取り調べ、被告人に対しても質問を行った上で結審していた。
あてはめ
本件では、第一審において7回もの公判期日が設けられている。また、証人2名の尋問や被告人質問といった口頭弁論に基づく証拠調べが実質的に行われている。これらの事実に照らせば、第一審が審理を尽くさず略式手続のように簡易に処理した事実は認められず、適正な手続が確保されているといえる。
結論
本件審理に審理不尽の違法は認められず、略式手続で審判したとの非難は当たらない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟において、審理不尽や手続違背を主張する際の事実認定の限界を示す例。十分な回数の公判と標準的な証拠調べが行われていれば、手続的保障が尽くされたものとして、審理不尽の主張を退ける根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)1929 / 裁判年月日: 昭和27年12月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に対する犯罪事実に関する質問は、犯罪事実に関する補強証拠の取調べが行われた後であれば、憲法38条1項に抵触せず、訴訟法上の違法もない。 第1 事案の概要:第一審第一回公判において、検察官から公訴事実につき取り調べ請求がなされた証拠のうち、柔道整復師作成の治療証明書の証拠調べが実施された。続く…