判旨
事実審裁判所は証人申請の取捨選択について合理的な裁量権を有しており、必要性がないと判断される証人尋問を行わないことは違法ではない。
問題の所在(論点)
事実審裁判所による証人申請の却下が、訴訟手続の違法(刑訴法上の法令違反)に該当するか。裁判所の証拠調べに関する裁量の範囲が問題となる。
規範
事実審裁判所は、証拠調べの必要性を判断し、証人申請の取捨選択をなすことについて合理的な裁量を有する。
重要事実
被告人の弁護人が第一審において証人の呼出し・尋問を申請したが、裁判所がこれを却下した。弁護人は、この証拠調べの却下が訴訟手続の違法であるとして上告を申し立てた。
あてはめ
事実審裁判所が証人申請の取捨選択を行うことは、その合理的な裁量に委ねられている。本件第一審の手続においてなされた証人申請の却下は、かかる裁量の範囲内にあるものと認められ、所論のような違法は存在しない。したがって、適法な証拠調べ手続が履践されているといえる。
結論
第一審の証人申請却下の手続に違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法298条2項に基づく裁判所の証拠調べの裁量権を認めた判例である。答案上は、証拠申請の却下の当否が争点となる場合に、裁判所の「合理的な裁量」を認める根拠として引用できる。ただし、裁量権の逸脱・濫用(必要不可欠な証拠の不当な却下)がある場合には違法となり得る点に注意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)4928 / 裁判年月日: 昭和29年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠同意がある場合には、証拠調べ手続に違法があるとの主張は認められず、また証人尋問決定に際し公訴事実を明確にする目的が示されていれば尋問事項は明白であるとして、訴訟手続の適法性を認めた。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において上告した事案。弁護人は、(1)原審が証人喚問に際し訴訟関係人の意見を…