判旨
公職選挙法違反等の罪による有罪判決に伴う公民権(選挙権及び被選挙権)の停止規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法等の規定により、特定の犯罪について有罪判決を受けた者に対して一律に、あるいは裁判所の裁量によらず公民権(選挙権・被選挙権)を停止することが、憲法14条の「法の下の平等」に違反するか。
規範
憲法14条1項の保障する法の下の平等は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づく差別を許容するものである。公職選挙法等の規定に基づく公民権の停止は、公正な選挙の確保という合理的な目的のために設けられたものであり、その制限が合理的な範囲内にとどまる限り、同条に違反しない。
重要事実
被告人は公職選挙法違反等の罪に問われ、原審で有罪判決を受けた。その際、被告人に対して公民権を停止しない旨の宣告がなされなかったこと(すなわち、法律の規定通り公民権が停止されること)について、被告人側が憲法14条の法の下の平等に違反すると主張して上告した事案である。
あてはめ
判例(昭和30年2月9日大法廷判決)の趣旨に照らせば、選挙の公正を害する犯罪を犯した者に対し、その性質に鑑みて一定期間の公民権を制限することは、正当な目的による合理的な区別であるといえる。本件においても、原判決が公民権を停止しない旨を宣告しなかったことは、法令の規定に基づく当然の結果であり、差別的取扱いには当たらないと解される。
結論
原判決が被告人の公民権を停止しない旨を宣告しなかったことは、憲法14条に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
憲法14条における「合理的な区別」の具体例として、選挙権という重要な基本的人権であっても、民主主義の根幹である選挙の公正確保という公共の福祉の観点から制限が可能であることを示す射程を持つ。答案上は、選挙権の制限に関する合憲性判定枠組み(厳格な合理性の基準等)を論じる際の、合憲肯定例の基礎として引用し得る。
事件番号: 昭和29(あ)3703 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条1項、2項による選挙権および被選挙権の停止規定は、憲法14条および44条ただし書に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは公職選挙法違反の罪に問われ、有罪判決を受けた。弁護人は、同法252条1項および2項が定める選挙権・被選挙権の停止規定が憲法14条および44条ただし書に違反す…