所論第一点前段は押収中には領置を含まないというが、押収中には強制処分としての差押の外任意処分たる領置も含まれるのであるから、所論は失当である。
押収には差押のほかに領置をも含むか
刑訴法99条,刑訴法101条
判旨
刑事訴訟法における「押収」の概念には、強制処分である差押えだけでなく、任意処分として行われる領置も含まれる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の「押収」という概念に、任意処分である「領置」が含まれるか。
規範
刑事訴訟法上の「押収」という用語は、広義には物の占有を取得する処分全般を指す概念である。したがって、強制力を用いて占有を取得する「差押え」のみならず、占有者が任意に提出した物を取得する「領置」も、その概念に含まれると解すべきである。
重要事実
被告人が供与した金銭の没収に関し、弁護人が「押収」の文言には任意処分である「領置」は含まれないと主張して、没収の適法性を争った事案。原審は、当該金銭が供与されたものと同一であると認定し、没収を維持していた。
あてはめ
本件において、没収の対象となった金銭は証拠により供与された金銭と同一性が認められている。弁護人は、押収には領置が含まれないことを前提に処分の違法を主張するが、法の規定する「押収」の概念は強制・任意を問わず物の占有取得を広く含むものである。したがって、領置された金銭であっても「押収」されたものとして没収の対象とすることに何ら法的な誤りはない。
結論
押収には領置も含まれるため、領置された物件を没収の対象とすることは適法である。
実務上の射程
条文上「押収」という用語が用いられている場合、特段の限定がない限り、強制的な差押えだけでなく任意提出に伴う領置も包含すると解する。没収の要件(刑法19条等)や、押収物の還付・仮還付(刑訴法123条等)の規定を解釈する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和28(あ)5129 / 裁判年月日: 昭和29年3月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金員が報酬と費用の性質を併せ持ち、それらが不可分的に授受された場合には、その全額について報酬としての性質を肯定し得る。 第1 事案の概要:被告人らが金員を受領した際、その名目が報酬および費用の両方を含んでいた事案。弁護側は当該金員がすべて実費(費用)であると主張したが、第一審および原審は、当該金員…