共犯者たる共同被告人Aの所論検察官に対する供述調書と第一審判決挙示のB、その他の被害者の第一審公判廷における供述等によつて処罰することが憲法三八条三項に違反しないことは既に当裁判所判例の趣旨とするところであるから、論旨は採用するに由ない(昭和二六年(れ)第一三三号同年六月二九日第二小法廷判決参照)。
共犯者たる共同被告人の検査官に対する供述と、被害者の公判廷における供述等により被告人を処罰することは憲法第三八条第三項に違反するか
憲法38条3項,刑訴法319条2項
判旨
共犯者の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、他の証拠と相まって被告人を処罰するための証拠として用いることができる。
問題の所在(論点)
共犯者の供述が、憲法38条3項にいう「本人の自白」に含まれるか。また、共犯者の自白と他の証拠(被害者の供述等)によって被告人を処罰することが同条項に抵触するか。
規範
憲法38条3項は「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が、本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定するが、共犯者の供述はこれにいう「本人の自白」には当たらない。したがって、共犯者の自白を補強証拠として、あるいは他の証拠と併せて被告人を処罰の根拠とすることは憲法に違反しない。
重要事実
被告人AおよびCは共犯関係にあり、第一審において被告人Aの検察官に対する供述調書、および被害者Bらの公判廷における供述が証拠として提出された。被告人側は、共犯者の供述に基づき有罪とすることは憲法38条3項に違反すると主張して上告した。なお、具体的な犯罪事実の詳細については判決文からは不明である。
事件番号: 昭和27(あ)4441 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、補強証拠がなくとも当該被告人を処罰する証拠となり得る。 第1 事案の概要:被告人が、他の共同被告人らと共に傷害、脅迫、暴行の罪に問われた事案。第一審および控訴審において有罪判決が下されたが、弁護人は「被告人自身の自白がないにもかかわら…
あてはめ
憲法38条3項の趣旨は、自白の強要による人権侵害を防止することにある。共犯者の供述は、被告人本人から見れば第三者の供述であり、「本人の自白」そのものではない。本件において、第一審は共犯者Aの供述調書に加え、被害者Bらの公判廷における供述等、本人の自白以外の証拠をも総合して犯罪事実を認定している。これは「自己に不利益な唯一の証拠が、本人の自白である場合」には該当しない。
結論
共犯者の供述は憲法38条3項の「本人の自白」に含まれず、他の証拠が存在する以上、それらに基づき被告人を処罰することは憲法に違反しない。
実務上の射程
共犯者の自白の証拠能力および証明力に関する重要判例である。答案上は、共犯者の自白に補強証拠が必要かという論点において、本判例を引用し、補強不要説(共犯者の自白は『本人の自白』ではないため、それ自体で補強証拠になり得る、あるいはそれ自体に補強を要しない)の根拠として用いる。ただし、現在の実務上は、共犯者の供述の信用性を慎重に判断すべきとの観点から、補強証拠の要否にかかわらず慎重な検討が求められる点に留意する。
事件番号: 昭和29(あ)1056 / 裁判年月日: 昭和33年5月28日 / 結論: 棄却
一 いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない 二 いわゆる共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しな…
事件番号: 昭和27(あ)4085 / 裁判年月日: 昭和29年1月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が司法警察員の脅迫等の強制に基づくものと認められない場合には、憲法38条2項に反せず、証拠能力が認められる。 第1 事案の概要:被告人A及びBが、司法警察員による脅迫等によって自白を強要されたと主張し、憲法38条2項違反を理由に上告した事案。被告人側は、警察における共犯者の自白も任意に…
事件番号: 昭和26(れ)450 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の公判廷における供述が犯罪事実を認めるものでない場合、それは「自白」には当たらない。また、自白以外の証拠も併せて事実認定に用いられているのであれば、憲法38条3項(自白のみによる有罪判決の禁止)の違反は認められない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、原審は第一審…