判旨
刑事訴訟法328条が規定する補助証拠(自己矛盾供述)の範囲について、判例は、人種や信条による差別の不在を前提としつつ、同条の明文に反する独自の解釈を否定している。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法328条に基づき、供述の証明力を争うための証拠(弾劾証拠)として、どのような証拠が許容されるか。また、同条の解釈において独自の限定を加えることが許されるか。
規範
刑事訴訟法328条は、伝聞法則の例外として、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うための証拠(弾劾証拠)の提出を許容している。この証拠は、実質証拠としてではなく、供述の信用性を減殺する目的のためにのみ許容されるものである。
重要事実
被告人の弁護人は、上告趣意において、原判決が人種や信条による差別を行った旨の憲法違反、および刑事訴訟法328条の解釈に関する独自の主張を伴う訴訟法違反を主張した。しかし、記録上、被告人が人種や信条により差別された事実は認められなかった。
あてはめ
弁護人の主張は、刑事訴訟法328条の明文規定に反する独自の見解に基づいている。本件では、原判決に憲法違反や同条の解釈誤りがあるとは認められず、また被告人が差別を受けた事由も見当たらない。したがって、同条の適用において、明文の規定を離れた独自の証拠排除を行うべき理由はないと解される。
結論
本件上告は、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法328条(弾劾証拠)の解釈において、条文の明文に反する限定解釈(独自の伝聞例外の制限等)は認められない。司法試験においては、自己矛盾供述が弾劾証拠として許容される範囲を論じる際、本決定が明文の規定を重視している点を確認するにとどめ、具体的な判断枠組みは後続の判例(最判昭32.12.24等)により補完する必要がある。
事件番号: 昭和28(あ)5514 / 裁判年月日: 昭和29年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条2項に基づき自白の任意性を争う場合であっても、強制によるものと認めるべき証跡がない限り、当該自白の証拠能力を否定することはできない。 第1 事案の概要:被告人が自白の任意性を争い、憲法38条2項違反および刑事訴訟法違反を主張して上告した事案。弁護人は、被告人の供述や自白が強制によるもので…