刑法二二〇一条一項にいう「監禁」とは、人を一定の場所から脱出できないようにして、間接に身体の事由を拘束することである。
刑法第二三〇条第一項にいう「監禁」とは
刑法220条1項
判旨
刑法220条1項の監禁罪における「監禁」とは、人を一定の場所から脱出できないようにして、間接に身体の自由を拘束することをいう。
問題の所在(論点)
刑法220条1項にいう「監禁」の意義。特に、直接的な身体への接触を伴わない「間接的な拘束」が監禁罪の構成要件に該当するか。
規範
刑法220条1項にいう「監禁」とは、人を一定の場所から脱出できないようにして、間接に身体の自由を拘束することをいう。なお、その手段は直接的な物理力に限定されず、心理的な影響力等を通じて脱出を困難にする「間接的」な拘束であっても足りる。
重要事実
被告人ら3名が、被害者を一定の場所に留まらせ、そこから脱出できない状態に置いて身体の自由を不当に拘束した事案。具体的な態様(脅迫の有無や場所の詳細は判決文からは不明)について、第一審および控訴審は不法監禁罪の成立を認め、被告人らがこれを事実誤認および法令違反として上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和28(あ)2751 / 裁判年月日: 昭和30年7月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法監禁罪における「監禁」とは、必ずしも一定の区画内に閉じ込めることを要せず、被害者の身辺を監視して脱出を困難にすることによって、身体の自由を拘束すれば足りる。 第1 事案の概要:被告人らは、被害者Aをいわゆる「つるし上げ」にした際、終始その身辺または周辺にあって同人を監視し続けた。それにより、被…
本件において被告人らが被害者に対して行った行為は、被害者がその場所から脱出することを困難にし、もって身体の自由を不当に奪ったものである。これは、対象者を一定の区画内に留めてその場所からの離脱を妨げる「間接的な拘束」に該当すると評価される。したがって、被告人らの所為は不法監禁罪の構成要件を充足する。
結論
被告人らの行為は刑法220条1項の監禁罪にあたる。本件各上告を棄却する。
実務上の射程
監禁罪の実行行為について、「間接的拘束」を含むことを明示したリーディングケースである。答案上は、物理的封鎖(施錠等)がない場合であっても、脅迫や心理的圧迫により「脱出できない状態」を作り出せば監禁罪が成立することを論証する際に、本判例の定義を引用して規範を定立する。
事件番号: 昭和30(あ)1001 / 裁判年月日: 昭和30年9月29日 / 結論: 棄却
被告人が路上において某に対し「自動車に乗れ、乗らなかつたら殴るぞ」と申し向けて脅迫し、手を引張る等してこれを強いて自動車に乗せ、被告人等も同乗し、某が降車を求めたが肯ぜず、空ビール瓶を振り上げ「バタバタするとこれで殴るぞ」と某を脅迫し、自動車を疾送させた所為は、不法逮捕監禁罪に当る。