被告人が路上において某に対し「自動車に乗れ、乗らなかつたら殴るぞ」と申し向けて脅迫し、手を引張る等してこれを強いて自動車に乗せ、被告人等も同乗し、某が降車を求めたが肯ぜず、空ビール瓶を振り上げ「バタバタするとこれで殴るぞ」と某を脅迫し、自動車を疾送させた所為は、不法逮捕監禁罪に当る。
不法逮捕監禁の一事例
刑法220条1項
判旨
不法な逮捕に引き続き監禁行為が行われた場合、先行する不法な逮捕行為を含めて刑法220条の逮捕・監禁罪が成立する。
問題の所在(論点)
不法な逮捕行為に引き続いて監禁行為が行われた場合に、刑法220条の逮捕及び監禁罪が成立するか。
規範
刑法220条に規定される「逮捕」とは、人の身体を直接的に拘束してその移動の自由を奪う行為を指し、「監禁」とは、一定の区画された場所から脱出することを困難にして人の身体の自由を拘束する行為を指す。両者は人の身体の自由を侵害する点で共通し、不法な逮捕に引き続き監禁が行われた場合には、包括して一罪(逮捕及び監禁罪)が成立する。
重要事実
被告人が、被害者に対して不法な逮捕(身体の直接的拘束)を行い、さらにそれに引き続いて監禁(一定の場所からの脱出を困難にする拘束)を行った事案。原審はこれらの事実関係に基づき不法逮捕監禁罪の成立を認めた。これに対し、弁護人が事実誤認および法令違反を理由に上告したものである。
あてはめ
判決文からは詳細な具体的あてはめの過程は不明であるが、裁判所は「原審の確定した事実関係の下においては、不法逮捕監禁罪の成立すること明らか」としている。これは、被告人による被害者への身体拘束行為(逮捕)と、その後の継続的な場所的拘束(監禁)が連続して行われた事実を、同条が予定する一連の自由侵害行為として評価したものと解される。
結論
被告人の行為について、刑法220条の不法逮捕監禁罪の成立を認めた原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
逮捕と監禁が連続して行われる場合、それぞれを別罪とせず、包括的に「逮捕及び監禁罪」として一罪で処断する実務上の運用を再確認するものである。答案上は、両行為が認められる場合に罪数論として包括一罪となることを簡潔に示す際に引用し得る。
事件番号: 昭和28(あ)2751 / 裁判年月日: 昭和30年7月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法監禁罪における「監禁」とは、必ずしも一定の区画内に閉じ込めることを要せず、被害者の身辺を監視して脱出を困難にすることによって、身体の自由を拘束すれば足りる。 第1 事案の概要:被告人らは、被害者Aをいわゆる「つるし上げ」にした際、終始その身辺または周辺にあって同人を監視し続けた。それにより、被…