判旨
共同審理を受けていない共犯者は、被告人との関係において独立した第三者としての地位を有する。したがって、その共犯者の供述は、単に共犯者であるという一事をもって証拠能力を欠くものではない。
問題の所在(論点)
共同審理を受けていない共犯者の供述について、その共犯関係のみを理由に証拠能力が否定されるべきか(刑事訴訟法上の証拠能力の有無)。
規範
共同審理を受けていない共犯者の供述については、その者が共犯者であるという事実のみをもって当然に独立の証拠能力を欠くものとは解されない。
重要事実
被告人の刑事裁判において、共犯者とされるAの供述が証拠として用いられ、第一審および原審は当該供述に基づき事実認定を行った。しかし、Aは当該被告人と共同審理を受けた共同被告人の立場にはなかった。
あてはめ
本件における共犯者Aは、被告人と共同審理を受けた共同被告人ではない。このように共同審理を受けていない共犯者は、被告人の事件においては第三者の立場に立つ。したがって、Aが被告人と共犯関係にあったとしても、その供述が当然に証拠能力を欠くと判断される理由はない。
結論
共同審理を受けていない共犯者の供述には証拠能力が認められる。したがって、当該供述を事実認定の基礎とした原判決に違法はない。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力に関する基礎的な判例である。共同被告人でない共犯者は「証人」として尋問可能であり、その供述が証拠能力を有することを確認している。答案上は、伝聞法則(321条以下)の適用が問題となる場面の前段階として、共犯者の証拠能力の一般的所在を示す際に活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4054 / 裁判年月日: 昭和28年12月16日 / 結論: 棄却
所論の各供述書は、たとえ本件の事実に直接関係のある者であつても、本件被告人に対する関係で、刑訴三二一条一項の「被告人以外の者」又は同二二三条一項の「被疑者以外の者」にあたることは明らかである。