所論の各供述書は、たとえ本件の事実に直接関係のある者であつても、本件被告人に対する関係で、刑訴三二一条一項の「被告人以外の者」又は同二二三条一項の「被疑者以外の者」にあたることは明らかである。
刑訴法第三二一条第一項の「被告人以外の者」及び同第二二三条第一項の「被疑者以外の者」の意義
刑訴法321条1項,刑訴法223条1項
判旨
刑事訴訟法321条1項にいう「被告人以外の者」および同法223条1項にいう「被疑者以外の者」には、たとえ当該事実に関係のある共犯者であっても、当該被告人に対する関係においてこれに含まれる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法321条1項にいう「被告人以外の者」および同法223条1項にいう「被疑者以外の者」の意義。特に、事件に直接関係のある共犯者等がこれに含まれるか。
規範
刑事訴訟法321条1項の「被告人以外の者」および同223条1項の「被疑者以外の者」とは、当該被告事件の被告人および被疑者以外の者を指す。したがって、たとえ事件に直接関係する者(共犯者など)であっても、当該被告人との対比においては「被告人以外の者」に該当し、伝聞例外の要件を充足し得る。
重要事実
被告人の事件に関与し、直接関係のある者が供述書を作成した。弁護人は、これらの者が「被告人以外の者」や「被疑者以外の者」に当たらないとして、証拠能力を争い、刑訴法違反を主張して上告した。判決文からは具体的な事件内容(罪名や共犯関係の詳細)は不明である。
あてはめ
本件における供述書の作成者は、本件の事実に直接関係のある者(共犯等)であったとしても、本件被告人との相対的な関係においては、当該被告人自身ではないため、「被告人以外の者」または「被疑者以外の者」にあたることは明らかであると解される。したがって、これらの者の供述書について証拠能力を認めた原審の判断に刑訴法違反の誤りはない。
結論
共犯者等は、被告人との関係において「被告人以外の者」に該当する。したがって、その供述については、刑訴法321条1項の規定に基づき、要件を満たせば証拠能力が認められる。
実務上の射程
共犯者の公判外供述(検察官面前調書等)の証拠能力を検討する際の前提となる判例である。共同被告人であっても、自己の公判を除けば「被告人以外の者」として321条1項が適用されるという実務慣行の根拠となる。答案上は、伝聞法則の例外(321条1項各号)を論じる際の冒頭で、共犯者の該当性を肯定するために簡潔に引用する。
事件番号: 昭和41(あ)2329 / 裁判年月日: 昭和42年2月16日 / 結論: 棄却
共犯者の犯罪事実に関する供述(自白)は、被告人に対する関係においては、被告人以外の者の供述であつて、憲法第三八条第三項にいわゆる「本人の自白」にあたらないことは当裁判所昭和二九年(あ)第一〇五六号同三三年五月二八日大法廷判決(集一二巻八号一七一八頁)の判示するところであり、今なお右判例を変更すべきものとは認められない。