甲乙が共同被告人である場合に、弁論分離後乙が甲の事件の証人としてした証言は、乙の犯罪事実に対する証拠となる。
共同被告人が弁論分離後他の事件の証人としてした証言を自己の犯罪事実に対する証拠とすることの可否
刑訴法143条,刑訴法317条,刑訴法322条
判旨
共同被告人であっても、事件が分離された後は他の共同被告事件において証人として証言することが可能であり、その証言を自己の犯罪事実の証拠とすることができる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上、共同被告人の事件が分離された場合に、一方が他方の事件の証人となることができるか。また、その証言を証言者自身の被告事件の証拠とすることができるか。
規範
共同被告人として公判を共にしている者であっても、訴訟手続が分離された場合には、他の共同被告人の被告事件において「第三者」としての地位を取得するため、証人としての適格を有する。また、当該証人としての証言内容は、後に自己の被告事件において証拠として用いることが許容される。
重要事実
被告人と共同被告人が存在する刑事事件において、両者の訴訟手続が分離された。分離後、一方が他方の被告事件において証人として出廷し、証言を行った。その証言内容が、証言をした本人自身の犯罪事実を認定するための証拠として採用されたため、弁護人が訴訟法違反を理由に上告した。
あてはめ
本件では被告人と他の共同被告人の事件が分離されており、分離された後の共同被告人は被告人との関係で独立した第三者の立場にあるといえる。したがって、証人として証言することに何ら差し支えはない。また、公判廷で宣誓の上なされた他人の事件での証言は、自己の事件においても証拠能力を有する証拠として扱うことが認められる。
結論
事件が分離された後の共同被告人は証人適格を有し、その証言を自己の犯罪の証拠とすることができるため、上告は棄却される。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力(刑訴法311条1項、143条)が問題となる場面で、手続分離の有無による証人適格の変動を説明する際に活用する。特に、自己罪状等拒絶権との関係で、被告人の地位と証人の地位の切り替えを論じる際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和36(あ)2496 / 裁判年月日: 昭和37年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯関係にある被告人同士であっても、公判手続きを分離した上で、一方が他方の被告事件について証人として尋問を受けることは適法であり、その証言を補強証拠等として採用することは許される。 第1 事案の概要:被告人AおよびBの刑事事件について、第一審の公判において両名の事件を分離した。その後、被告人Aの事…