判旨
共犯関係にある被告人同士であっても、公判手続きを分離した上で、一方が他方の被告事件について証人として尋問を受けることは適法であり、その証言を補強証拠等として採用することは許される。
問題の所在(論点)
共犯関係にある共同被告人を分離して互いに証人として尋問し、その供述を自白の補強証拠等として採用する手続は、憲法および刑事訴訟法上適法か。
規範
共同被告人であっても、その公判手続が分離された場合には、互いに他の被告事件について証人の適格を有する。したがって、適法な証人尋問の手続を経て得られた供述は、証拠能力を有する。また、自白の補強証拠の要否については、適法な証拠調べに基づき、裁判所が判断することができる。
重要事実
被告人AおよびBの刑事事件について、第一審の公判において両名の事件を分離した。その後、被告人Aの事件においてBを、被告人Bの事件においてAを、それぞれ証人として尋問した。尋問終了後に事件を併合し、検察官は両名の供述調書を証拠として請求した。被告人側から異議はなく、裁判所はこれらを証拠として採用した上で、被告人の自白を補強する証拠として第一審判決を下した。
あてはめ
本件では、第一審において被告人両名の事件が適法に分離されており、その分離された期間中に互いが「証人」として尋問を受けている。この手続は、供述者の証人適格を認める趣旨に合致し適法である。また、検察官による証拠請求に対して被告人側から異議が述べられておらず、裁判所が適法な証拠調べを経て供述を採用した点に瑕疵はない。第一審が自白のほかにこれらの適法な証拠を掲げて有罪を認定したことは、補強証拠の法理(憲法38条3項、刑訴法319条2項)に照らしても正当である。
結論
共同被告人の事件を分離し、互いに証人尋問を行う手続は適法であり、その証言を自白の補強証拠として採用することは憲法および法律に違反しない。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力および補強証拠としての適格性が問題となる場面で活用できる。実務上、公判手続の分離・併合を介して共犯者を証人尋問する手法は確立されており、その手続的適法性を担保する基礎的判例である。答案上は、供述証拠の証拠能力(321条等)や補強証拠の要否を論じる際、分離尋問がなされている事実を評価する根拠として引用する。
事件番号: 昭和28(あ)3280 / 裁判年月日: 昭和31年12月13日 / 結論: 棄却
甲乙が共同被告人である場合に、弁論分離後乙が甲の事件の証人としてした証言は、乙の犯罪事実に対する証拠となる。