刑事訴訟法は、一四三条において何人でも証人としてこれを尋問することができる旨を規定し、一五四条において証人には宣誓させなければならないと定め、唯証人は自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞がある等一四六条、一四七条等に規定する事由がある場合に限りかかる証言を拒むことができることとなつているのである。従つて共犯者と雖も証人たり得るし、証人である以上宣誓を命ぜられるのは当然である。記録によるとAは、第一審公判に証人として喚問され、裁判長より宣誓を命ぜられ且つ法定の証言拒否権も告げられた上、検察官や弁護人等の尋問に応じ供述しているものであつて、右供述が不任意になされたと認むべき形跡はない。従つて同証人に対する尋問手続は総て適法であつて、その証言は証拠能力のあるものといわなければならない。共犯者には宣誓なさしむべきでないとする所論は独断にすぎないし、共犯者を証人として尋問するに当り、宣誓せしめたが故に、その供述を強制したものと論ずることも根拠なき議論である。
共犯者を証人として宣誓せしめることの可否
刑訴法143条,刑訴法154条,憲法38条1項
判旨
共犯者であっても証人適格が認められ、証人として尋問する際には原則通り宣誓をさせるべきである。証言拒否権が告知された上での宣誓及び供述は、供述を強制したものとはいえず適法である。
問題の所在(論点)
刑事被告人の共犯者に証人適格が認められるか、また、共犯者を証人として尋問する際に宣誓をさせることが、供述の強制にあたり違法とならないか。
規範
刑事訴訟法143条は何人でも証人とすることができる旨を規定し、同法154条は証人に宣誓をさせなければならないと定めている。例外として、自己が刑事追及等を受ける虞がある場合に限り証言拒否権(同法146条等)が認められるに留まる。したがって、共犯者であっても証人としての尋問が可能であり、その場合は当然に宣誓を要する。
重要事実
被告人の共犯者であるAが、第一審公判において証人として喚問された。裁判長はAに対し、法令に基づき宣誓を命じるとともに、法定の証言拒否権を告知した。Aはその後、検察官や弁護人の尋問に応じて供述を行ったが、弁護人は「共犯者に宣誓をさせたことは供述を強制したものであり憲法違反である」と主張して上告した。
あてはめ
刑事訴訟法の規定上、証人には原則として宣誓義務がある。本件の証人Aは、裁判長から適法に宣誓を命じられただけでなく、同時に証言拒否権の告知も受けている。このような手続を経てなされた供述は、不当に強制されたものとは認められず、任意になされたものと解される。ゆえに、共犯者に宣誓をさせたことをもって供述を強制したとする主張は根拠がない。
結論
共犯者の証人尋問手続は適法であり、その証言には証拠能力が認められる。共犯者に宣誓をさせることは憲法及び刑事訴訟法に違反しない。
実務上の射程
共犯者に証人適格を認める初期の重要判例。現在でも、分離された共犯者を証人として尋問する際、宣誓させた上で証言拒否権を告知するという実務運用を支える基礎となっている。「供述の強制」が争点となる場合に、宣誓義務と証言拒否権の関係を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和26(あ)1887 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述は、他の被告人の自白の補強証拠となり得る。憲法38条3項および刑事訴訟法319条2項にいう「本人の自白」には、共犯者の供述は含まれないためである。 第1 事案の概要:被告人が自白をしている状況において、共同被告人の供述が当該被告人の自白を補強する証拠として採用された。これに対し、弁…