判旨
被告人の供述調書が強制・脅迫によるものと認めるべき証拠がなく、不当な差別的処遇も認められない場合、憲法38条2項(自白の任意性)及び14条(法の下の平等)に違反しない。
問題の所在(論点)
被告人の供述調書が強制または脅迫による自白にあたり憲法38条2項に違反するか。また、被告人への処遇が憲法14条に違反する差別的処遇にあたるか。
規範
憲法38条2項に基づく自白の任意性否定、及び憲法14条に基づく不当な差別的処遇の有無は、客観的な記録上の証跡に基づき判断される。強制、拷問若しくは脅迫による自白、又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白といった、任意性に疑義が生じる特段の事情が認められない限り、証拠能力を否定すべき違憲の主張は前提を欠く。
重要事実
被告人が作成した供述調書につき、弁護人が強制または脅迫による自白であると主張し、あわせて被告人が差別的処遇を受けたとして憲法38条2項および14条違反を理由に上告した。しかし、訴訟記録上、供述が強制や脅迫によったことを裏付ける証拠は存在せず、また差別的処遇を受けた事実も認められなかった。
あてはめ
本件において記録を精査しても、被告人の供述が強制または脅迫によって得られたことを認めるべき証跡は見当たらない。したがって、自白の任意性を否定すべき客観的事実はない。また、所論の事由により差別的処遇を受けたとする事実も認められず、法の下の平等に反する運用があったとはいえない。
結論
本件供述調書の証拠採用は憲法38条2項および14条に違反せず、上告を棄却する。
実務上の射程
自白の任意性や差別的処遇を主張する場合、具体的かつ客観的な証拠(証跡)が必要であることを示した極めて簡潔な事例判断である。答案上では、自白排除法則の適用を検討する際、記録上の裏付けの重要性を指摘する文脈で参照し得る。
事件番号: 昭和28(あ)23 / 裁判年月日: 昭和29年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が供述調書を証拠とすることに同意し、その任意性を争っていない場合には、当該調書が憲法38条2項に違反するとの主張は前提を欠き認められない。 第1 事案の概要:被告人は、公判手続において検察官提出の供述調書を証拠とすることに同意した。また、被告人はその調書の作成過程における任意性についても、原…