判旨
刑事訴訟法における「供述が任意にされたもの」とは、強制、拷問、脅迫またはこれに類する程度の不当な事由によってされた疑いのない供述をいう。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の「供述の任意性」の定義および判断基準。特に、どのような不当な事由が存在する場合に任意性が否定されるか。
規範
刑訴法325条(および憲法38条2項、刑訴法319条1項)にいう「供述が任意にされたもの」とは、強制、拷問、脅迫、またはこれらに類する程度の不当な事由によってなされた疑いのない供述を指す。
重要事実
被告人の弁護人が、原判決の供述の任意性に関する解釈が東京高等裁判所の判例と相反すると主張して上告した事案。弁護人は、任意性の解釈について特定の限定的な基準を示す判例を引用した。
あてはめ
最高裁判所は、引用された高裁判決が示す「強制、拷問、脅迫、またはこれらに類する程度の不当な事由によってなされた疑いのないこと」という定義について、原判決がこれと相反する判断を下した事実は認められないとした。本判決自体は事案の具体的な事実関係を詳細に示していないが、右の定義が法文の正しい解釈であることを前提としている。
結論
被告人の供述が強制、拷問、脅迫等によらないものである以上、任意性は否定されず、証拠能力が認められる。本件上告は棄却された。
実務上の射程
自白の証拠能力(刑訴法319条1項)や供述録取書の証拠能力の前提となる任意性の判断基準として活用できる。特に不当な働きかけが「強制・拷問・脅迫」に準ずる程度に達しているかを検討する際の基礎的な規範となる。
事件番号: 昭和27(あ)2617 / 裁判年月日: 昭和28年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の供述調書が強制に基づくと主張される場合、記録上の事実に照らしてその強制の事実が認められないのであれば、証拠能力を否定する理由はない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審判決が証拠として採用した被告人の司法警察員に対する供述調書が、強制に基づくものであると主張して上告した。しかし、本…