所論告訴状名義者はいずれも本件器物の管理者であつて、告訴権を有するものであることは裁判所会計事務に関する規定上明らかである。
器物損壊罪における告訴権者 ―法廷の椅子の管理者―
刑法261条,刑訴法230条,下級裁判所会計事務規程
判旨
裁判所の物品を損壊した事案において、当該器物の管理者は告訴権を有する被害者に該当する。
問題の所在(論点)
裁判所の物品が損壊された場合において、その管理者は刑事訴訟法230条の告訴権を有する「被害者」に当たるか。
規範
刑事訴訟法230条にいう「犯罪により害を被った者」(被害者)には、直接の所有者のみならず、当該物の適法な管理者も含まれる。
重要事実
被告人が裁判所の器物を損壊したとされる事案において、告訴状の名義者が当該器物の管理者であった。弁護人は、当該名義者が告訴権を有しないと主張して上告した。
あてはめ
裁判所会計事務に関する規定に照らせば、告訴状の名義者は本件器物の管理者である。管理者はその業務として物品の保全を担う立場にある以上、当該物品の損壊により直接的に管理権を侵害されたといえる。したがって、管理者は適法な告訴権を有する者に該当すると解される。
事件番号: 昭和37(あ)1191 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 破棄自判
一 刑法第二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」とは、公務所において現に使用し又は使用に供する目的で保管している文書を総称しその文書が証明の用に供せられるべき性質を有することを要するものではない。 二 日本国有鉄道の駅職員が列車の遅延、運転中止を告げ、これを詫びる旨白墨で記載して駅待合室に提示した急告板を勝手に取りは…
結論
本件各告訴状の名義者は告訴権を有するものであり、告訴は適法である。
実務上の射程
器物損壊罪等の親告罪において、被害者が官公庁や法人である場合、その「管理者」が告訴権を持つことを肯定する根拠として活用できる。答案上は、被害者の定義に管理者が含まれることを簡潔に示した上で、事務規定等の根拠から管理権を認定する流れで用いる。
事件番号: 昭和26(あ)2185 / 裁判年月日: 昭和28年3月13日 / 結論: 棄却
一通の許可状でもつて臨検、捜索および差押について各個の許可がなされた場合、差押の許可に関する瑕疵は臨検、捜索の許可の効力に何らの影響もおよぼさない。
事件番号: 昭和51(あ)1202 / 裁判年月日: 昭和52年7月14日 / 結論: 破棄自判
公務員が公務所の作用として職務権限に基づいて作成中の文書は、それが文書としての意味、内容を備えるに至つた以上、刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
事件番号: 昭和38(あ)2445 / 裁判年月日: 昭和42年9月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公共企業体等労働関係法17条1項に違反する争議行為であっても、労働組合法1条2項の適用があるが、暴力を伴う場合には正当性の限界を超え、刑事制裁を免れない。 第1 事案の概要:被告人は、争議行為に際し、公務員である郵便課長が職務を執行しようとしたところ、その腕をつかむ等の暴行を加えて同人が所持してい…