判旨
食糧管理法による食糧の配給制や価格統制等の制限は、公共の福祉のために必要な制限であって、憲法25条や憲法29条等に違反しない。
問題の所在(論点)
食糧管理法による食糧の売買や価格の制限が、憲法25条(生存権)および憲法29条(財産権)等の規定に違反し違憲ではないか。
規範
公共の福祉による経済的自由の制限については、その制限が国民生活の安定や社会経済の健全な発展を目的とするものである限り、立法府の裁量的判断を尊重すべきであり、著しく不合理であることが明白でない限り合憲とされる(判旨引用元:昭和23年10月29日大法廷判決等、本件が維持した既往判例の趣旨)。
重要事実
被告人は食糧管理法違反の罪で起訴された。弁護人は、食糧管理法による食糧の統制が憲法に違反する旨を主張し、上告した。
あてはめ
本判決は詳細な事実認定や具体的あてはめを記さず、従来の判例(昭和23年10月29日判決等)を引用・維持する形式をとっている。食糧管理法が目的とする主要食糧の需給調整は、国民の生存を確保し、経済の混乱を防止するための「公共の福祉」に基づく合理的な制限であると解される。したがって、先行判決を変更する必要はなく、本件への適用も適法である。
結論
食糧管理法は憲法に違反せず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
生存権や財産権に対する経済的規制の合憲性判断において、初期の最高裁が「公共の福祉」による広範な立法裁量を認めた重要事例。司法試験においては、経済的自由の制限に関する合憲性判定基準(目的二分論以前の公共の福祉論)の歴史的展開として位置づけられる。
事件番号: 昭和28(あ)3076 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法、同施行令、同施行規則が憲法に違反しないことは、昭和23年の大法廷判例の趣旨に照らし明らかであり、合憲である。被告人の上告趣意に正当な理由は認められず、上告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法等の規定に違反したとして起訴されたが、当該法令は日本国憲法に違反するも…