判旨
食糧管理法による財産権の制限は、公共の福祉に適合するものであり、憲法25条1項および29条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
食糧管理法による食糧の統制および財産の処分制限が、憲法25条1項の生存権ならびに憲法29条1項の財産権を侵害し、違憲・無効となるか。
規範
憲法25条が定める生存権および憲法29条が定める財産権の保障は、公共の福祉による制限を受けるものであり、特定の経済統制法(食糧管理法等)が公共の福祉の増進を目的として財産の処分権を制限するものであっても、直ちに違憲とはならない。
重要事実
被告人らは、食糧管理法およびその附属法令が、財産の処分権を停止させる悪法であり、憲法25条1項(生存権)および憲法29条1項(財産権)に反し無効であると主張して上告した。事案の具体的な犯罪事実は判決文からは不明であるが、食糧管理法違反が問われた事件である。
あてはめ
最高裁判所は、既往の判例(昭和23年9月29日大法廷判決等)を引用し、食糧管理法が憲法25条に違反しないことを確認した。また、同法が財産の処分権を制限している点についても、憲法29条が許容する公共の福祉による制限の範囲内であり、違憲ではないと判断した。被告人の主張は、原審で判断を経ていない事項である点に加え、実体法上の解釈としても法的根拠を欠くものであるとされた。
結論
食糧管理法は憲法25条および29条に違反せず、同法に基づく財産権の制限は有効である。したがって、被告人らの上告は棄却される。
実務上の射程
生存権(25条)のプログラム規定説的性格や、財産権(29条)に対する社会経済的な制約の合憲性を肯定する際の基礎的な判断枠組みとして機能する。司法試験においては、経済的自由や財産権への公的介入が「公共の福祉」の名の下に正当化される文脈で、判例の立場を示すために引用し得る。
事件番号: 昭和27(あ)5442 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法による食糧の統制は、国民の生存権を保障する憲法25条に違反するものではなく、公共の福祉に適合する合理的な規制である。 第1 事案の概要:被告人が食糧管理法の規定に違反して食糧の取引等を行ったとして起訴された事案において、被告人側は同法による食糧統制が憲法25条に違反し、生存権を侵害するも…