判旨
詐欺罪と横領罪が成立する場合、それらが単一の行為によるものでない限り、併合罪として処断されるのが相当である。
問題の所在(論点)
詐欺罪と横領罪が成立する場合の両罪の罪数関係、および複数の横領行為が存在する場合の処断の可否が問題となる。
規範
特定の詐欺行為と、その後の(あるいは別個の)横領行為が認められる場合、それらが包括一罪や吸収関係に立つ特段の事情がない限り、刑法45条前段の併合罪として処理する。
重要事実
被告人は詐欺罪および横領罪に問われた。上告人は、横領行為が一つであるか複数であるかによって罪数判断に影響があると主張したが、原審は詐欺罪の刑に併合罪の加重をして処断した。具体的な犯行の態様や日時は判決文からは不明であるが、詐欺罪と横領行為が存在することを前提としている。
あてはめ
本件における各個の横領行為が一罪となるか数罪となるかにかかわらず、結局のところ詐欺罪とはいずれにしても併合罪の関係にあると解される。したがって、詐欺罪の刑に併合罪の加重をして処断した原判決の結論は、罪数の評価にかかわらず正当である。
結論
詐欺罪と横領罪は併合罪の関係にあり、併合罪加重により処断することは正当である。
実務上の射程
実務上、詐欺により得た物をさらに横領するような場面で、先行する詐欺罪と後行の横領罪を併合罪として起訴・処断する際の根拠となる。ただし、不可罰的事後行為となるかどうかの検討は別途必要である。
事件番号: 昭和28(あ)760 / 裁判年月日: 昭和28年11月26日 / 結論: 棄却
原審の認定した事実によれば被告人は判示横領にかかる米を利用し欺罔手段を弄して他から金員を騙取し以て新法益を侵害したというのであるから詐欺罪の成立すること勿論であり、原判決は昭和二二年(れ)一〇五号同二三年四月七日言渡の当裁判所大法廷判決(判例集二巻四号二九八頁以下参照)と同旨に出でたものである。