昭和二七年九月着工、同年一二月完成するにいたつた自己の家屋の建築工事費を支払うため、前後一二回にわたり、その都度、公金をもつて支弁した事実があつても、最初から全部の横領を企図したものと認められないかぎり、横領罪は個々に成立し、併合罪と認めるべきである。
横領罪においては包括一罪と認められない事例
刑法253条,刑法45条
判旨
複数の犯罪行為がそれぞれ独立した意思決定に基づき、時間的・場所的にも近接していない場合には、刑法45条前段の併合罪として処理される。
問題の所在(論点)
被告人が行った複数の犯罪行為について、それらを包括して一罪とすべきか、あるいは刑法45条前段に基づき併合罪として認定すべきかが問題となった。
規範
刑法45条前段の併合罪とは、確定裁判を経ていない2個以上の罪を指す。個々の行為が独立した犯意に基づくものであり、かつ法律上の1個の行為(観念的競合や牽連犯)に当たらない場合には、原則として併合罪として処断される。
重要事実
被告人が行った複数の所為について、原審はこれらを併合罪として認定・判断した。被告人側はこれが判例に違反すると主張して上告したが、判決文からは具体的な犯罪事実(日時、場所、態様等)の詳細は不明である。
あてはめ
最高裁判所は、記録を精査した結果、原審が被告人の各所為を併合罪として認定した判断に違法は認められないとした。弁護人が主張する引用判例についても、本件の事実関係とは適切に合致しない(射程外である)と判断された。
結論
本件の各所為を併合罪と認めた原判決は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
罪数論において、数個の行為が独立している場合に原則通り併合罪として処理する実務上の運用を再確認するものである。ただし、本判決文自体には具体的な判断要素が乏しいため、答案上は併合罪の一般的要件(数個の意思、数個の行為)を論じる際の補強として言及するにとどめるべきである。
事件番号: 昭和28(あ)2403 / 裁判年月日: 昭和30年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の犯行が行われた場合において、各所為ごとに独立して犯罪が成立するか、あるいは包括して一罪となるかは、事実認定の問題である。第一審が各所為ごとに一罪が成立すると認定したことが証拠上可能であるならば、その認定は維持される。 第1 事案の概要:被告人が複数の所為に及んだ事案において、第一審判決は、各…