判旨
複数の犯行が行われた場合において、各所為ごとに独立して犯罪が成立するか、あるいは包括して一罪となるかは、事実認定の問題である。第一審が各所為ごとに一罪が成立すると認定したことが証拠上可能であるならば、その認定は維持される。
問題の所在(論点)
複数の行為が行われた場合に、それらを各所為ごとに独立した犯罪(併合罪等)として認めるべきか、あるいは包括的な一罪として認めるべきかという、罪数の認定が争点となった。
規範
複数の行為がなされた場合に、それらが各々独立した犯罪を構成するか、あるいは一罪(包括一罪等)として扱われるかは、個別の事案における証拠に基づく事実認定の合理性によって判断される。
重要事実
被告人が複数の所為に及んだ事案において、第一審判決は、各所為ごとに独立して一罪が成立すると認定した。これに対し弁護人は、当該認定は不当であり、一罪として構成されるべきであるとして、判例違反および憲法違反を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、第一審が挙げた証拠に照らせば、各所為ごとに一罪が成立するとした事実認定は十分に可能であると判断した。弁護人が主張する判例違反についても、依拠する判例は前提事実が本件と異なるため、本件には適切ではないと判示した。したがって、原審の認定に違法はないとされる。
結論
各所為ごとに独立して犯罪が成立するとした原判決の認定は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
罪数論において、個別の行為が独立した犯罪となるか、あるいは包括一罪等になるかは、究極的には事実認定の問題であることを示している。答案作成上は、行為の個数、時間的・場所的近接性、犯意の単一性等の要素から、各行為の独立性を証拠に基づき検討する際の根拠となる。
事件番号: 昭和28(あ)2816 / 裁判年月日: 昭和30年10月14日 / 結論: 棄却
市役所の税務課職員が、市税滞納者から徴収して業務上保管中の滞納税金を連続して着服横領した場合に、その犯行は二年余の長期間に五〇回余り行われたもので各個の犯行が必ずしもはなはだ近接しているものではなく、犯行の共犯者も時によ相異して行為の態様が必ずしも同一ではないし、また各種滞納税金を徴収保管するに従い随時自己の必要に応じ…