市役所の税務課職員が、市税滞納者から徴収して業務上保管中の滞納税金を連続して着服横領した場合に、その犯行は二年余の長期間に五〇回余り行われたもので各個の犯行が必ずしもはなはだ近接しているものではなく、犯行の共犯者も時によ相異して行為の態様が必ずしも同一ではないし、また各種滞納税金を徴収保管するに従い随時自己の必要に応じて着服横領したものであつて当初から一括して着服しようとする包括的犯意のあつたことが認められないときは、各個の着服行為ごとに一罪が成立し、併合罪となるものと解すべきである。
連続する業務上横領行為につき併合罪の成立を認めるべき一事例
刑法253条,刑法45条前段
判旨
複数の客体に対して同一の機会に法益侵害を生じさせた場合の罪数について、本判決は原判決の罪数判断を正当として上告を棄却した。
問題の所在(論点)
同一の機会に行われた行為が、罪数論上、一個の罪(観念的競合を含む)となるか、それとも複数の罪(併合罪)として処断されるべきか。
規範
同一の機会に複数の客体に対して犯罪行為が行われた場合、保護法益の数や行為の態様、時間的・場所的近接性を総合的に考慮して、一個の罪となるか併合罪(刑法45条前段)となるかを判断する。
重要事実
本判決文からは事案の具体的な事実は不明であるが、弁護人が罪数に関する判断に誤りがあるとして上告した事案である。原判決(一審または二審)は、被告人の行為について一定の罪数判断を示していた。
あてはめ
判決文には具体的なあてはめの過程は記載されていないが、最高裁は「本件の罪数に関する原判決の判断は正当」と示し、弁護人が援用した判例が本件の事案に適切ではないことを理由に、原審の罪数評価を維持した。
結論
本件における罪数に関する原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
具体的な事案内容は不明なものの、実務上は「一個の行為」の範囲を確定する際や、法益の数に基づく罪数決定において、原審の個別具体的な判断を尊重する姿勢を示す一例といえる。答案上は、罪数の原則的判断枠組み(法益の数、行為の共通性)を確認する材料として活用し得る。
事件番号: 昭和28(あ)4188 / 裁判年月日: 昭和30年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の犯行が包括一罪を構成するか否かは、証拠関係に照らして判断されるべきであり、事実関係として一罪を構成すると認められない場合には、併合罪として処理される。 第1 事案の概要:被告人が複数の犯罪行為に及んだとされる事案において、弁護人はこれらの行為が包括一罪を構成すると主張して上告したが、原審まで…