判旨
複数の罪が併合罪となるか単純一罪となるかの区別は、法令の解釈・適用の問題であり、憲法違反の問題ではない。本判決は、併合罪の成否を争う主張は単なる法令違反の主張に過ぎず、刑訴法405条の上告理由には当たらないと判示した。
問題の所在(論点)
数罪の関係が併合罪か単純一罪かという罪数の判断について、憲法違反を理由として上告することができるか(刑訴法405条の上告理由の存否)。
規範
特定の数罪の法的性質について、併合罪(刑法45条)に該当するか、あるいは単純一罪として処理されるべきかは、法令の解釈適用の問題に帰する。これを憲法違反の主張として構成したとしても、その実質が法令解釈の是非を問うものである限り、刑訴法405条所定の上告理由(憲法違反等)には該当しない。
重要事実
被告人および弁護人が、原審における罪数判断(併合罪とした点)を不服として上告した事案。弁護人は、当該事案が併合罪ではなく単純一罪であることを主張し、その誤りが憲法29条(財産権)に違反すると主張した。
あてはめ
弁護人は憲法29条違反を主張しているが、その実質的な内容は、本件が併合罪ではなく単純一罪であるという「法令違反」の主張にすぎない。したがって、憲法違反を理由とする適法な上告理由とは認められず、また、刑訴法411条を適用して職権で破棄すべき事情も存在しない。
結論
本件上告は棄却される。併合罪の成否に関する主張は単なる法令違反の主張であり、上告理由には当たらない。
実務上の射程
罪数判断(単純一罪、包括一罪、併合罪の区別)に関する不服は、原則として法令違反の問題であり、憲法違反を構成しない。上告審においては、憲法違反の形式を借りても、実質が法令解釈の誤りであれば適法な上告理由とならないことを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和28(あ)3664 / 裁判年月日: 昭和29年4月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張された憲法違反や判例違反が、実質的に単なる訴訟法違反や量刑不当の主張にすぎない場合には、刑訴法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、第一審判決における訴訟法違反を原判決(控訴審)が職権調査せず看過した点について、憲法違反および判例違反であると主張して上告…