判旨
国税犯則取締法(当時)に基づく収税官吏の告発は、その要件の認定が収税官吏の合理的な自由裁量に委ねられており、その判断が合理性を欠かない限り適法である。
問題の所在(論点)
国税犯則取締法13条に基づく収税官吏の告発要件の認定が、収税官吏の裁量に属するか、またその裁量の範囲が問題となる。
規範
国税犯則取締法13条(現行の国税通則法157条等に相当)所定の告発要件の認定は、収税官吏の合理的な自由裁量に委ねられている。したがって、当該告発が違法となるのは、収税官吏の判断が著しく合理性を欠く場合に限られる。
重要事実
被告人が国税犯則事件について収税官吏により告発され、起訴された事案において、弁護人は当該告発の要件認定に不備があり、憲法違反または法律違反の疑いがあるとして、告発の有効性および公訴提起の適法性を争った。
あてはめ
本件における収税官吏による告発の判断過程を記録に照らして検討しても、その要件認定が不合理であると認めるべき事情は存在しない。収税官吏がその裁量権を逸脱・濫用した事実は認められず、判断は合理性の範囲内にとどまっているといえる。
結論
本件告発に係る収税官吏の判断に合理性を欠く点は認められないため、告発は有効であり、これに基づく公訴提起も適法である。
実務上の射程
税法上の告発(犯則調査)が起訴の前提条件となる場合において、行政庁の裁量を広く認めた判例である。行政法上の裁量論と同様の枠組みで、著しい不合理性がない限り司法審査を抑制する実務上の指針となる。
事件番号: 昭和25(あ)2374 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】収税官吏による告発の手続が適法である以上、その告発に基づく公訴提起は有効であり、量刑が不当でない限り原判決を破棄すべき理由はない。 第1 事案の概要:被告人が税法違反の罪に問われた事案において、収税官吏による告発が行われた。弁護人は、当該告発が違法無効であり、かつ第一審および原審の量刑が不当である…