判旨
収税官吏が被告人の居所が不明であると認めて行った告発は、その判断に合理的な理由がある限り適法であり、刑罰法令の改正があった場合には新旧両法を比較して軽い方の規定を適用すべきである。
問題の所在(論点)
収税官吏が被告人の居所を不明として行った告発の適法性、および行為後に罰則規定が改正された場合の適用法の選択(刑法6条の解釈)。
規範
収税官吏による告発の適法性は、告発時点において被告人の居所が分明でないと認められる客観的状況に基づき判断される。また、行為後に刑罰法令の改正があった場合、刑法6条に基づき、改正前後の法定刑を照らし合わせ、被告人に有利な(刑の軽い)法律を適用する。
重要事実
被告人が酒税法違反の疑いで告発された際、収税官吏は被告人の居所が分明でないと認めて告発手続を行った。また、当該行為の後に酒税法(昭和24年法律第43号)の改正が行われ、罰則規定(同法60条)に変更が生じていた。
あてはめ
本件では、収税官吏は被告人の居所が分明ならざるものと認めて告発しており、その判断過程に不合理な点は認められず適法である。また、改正前の酒税法60条と改正後の同条を比較検討したところ、行為時である旧法の規定の方が新法よりも刑が軽いことが明らかであると認められる。
結論
本件告発は適法であり、刑罰の適用については、より刑の軽い改正前の旧酒税法が適用されるべきである。
実務上の射程
告発の前提となる事実認定の適法性と、刑法6条(法律の変更)の適用場面における新旧比較の具体例を示す。実務上は、改正により罰則が強化された場合に、憲法39条の不遡及の原則を具体化した刑法6条に基づき旧法を適用する判断枠組みとして参照し得る。
事件番号: 昭和27(あ)715 / 裁判年月日: 昭和28年6月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】酒税法違反等の犯則事件において、収税官吏から検察官に対して適式な告発がなされている場合には、公訴提起の前提となる訴訟要件を欠くことはない。 第1 事案の概要:被告人は酒税法違反の罪に問われた。昭和25年6月、小千谷税務署の収税官吏(大蔵事務官)から六日町区検察庁の副検事に対し、本件被疑事件について…